問題となったのは、ソフトバンク4点ビハインドの8回表無死。この回先頭の楽天・辰己涼介のゴロを逆シングルで捕球した二塁手の牧原は、体を反転させながら一塁に送球し辰己をアウトに。ただ、牧原はこの一連の動きの中で足首をひねり、顔をしかめながらその場に座り込んだ。
選手やトレーナーが駆け寄っていく中、工藤公康監督は牧原に対しベンチに戻ってくるように手招き。しかし、指示を確認した牧原はこれに応じず、そのまま守備位置に。結局、9回に代打を送られるまで出場を続けた。
試合後の報道によると、出場が危ぶまれるような大事には至らなかったというこのアクシデント。しかし、ネット上のファンからは「選手が造反って工藤監督嫌われすぎやろ」、「牧原の意地もあったかもしれんけど、監督が指示を拒否されるのはやばすぎ」、「選手側に嫌われてるとしたらもう終わりだな」といった声が多数挙がっている。
牧原に“シカト”される形となったこの日の工藤監督だが、今月9日のロッテ戦でも同様の事態に見舞われている。同試合の8回裏、自打球で足を痛めながら右安打を放った明石健志に対し、工藤監督はベンチに戻るよう手招きをするも、明石はベンチ方向へのジェスチャーを交えこの指示を拒否。この一幕と今回の一件を見て、「選手に信頼されていないのでは?」といぶかるファンは多い。
また、工藤監督については、「コーチ陣とも折り合いが悪い」と伝えるメディアも少なくない。実際、2017年には佐藤義則(現楽天)、鳥越裕介、清水将海(ともに現ロッテ)の3コーチがリーグ優勝・日本一を達成したにもかかわらず「仕事はできた」、「ホークスを倒したい」といった旨の言葉と共に退団。また、2年連続日本一を果たした昨年も「任期満了」と理由を強調していた達川光男氏(現解説者)を含め、3名のコーチがチームを去っている。
今シーズンで就任5年目となる工藤監督が、周囲にどう思われているか真相は不明。ただ、もし本当にチーム内での求心力が低下しているとなると、現在首位西武を2ゲーム差で追う優勝争い、そしてその後のポストシーズンも苦戦を強いられることになるかもしれない。
文 / 柴田雅人