韓国プロ野球のハンファイーグルス、斗山ベアーズ、ktウィズの3球団が10月中旬から11月にかけて予定していた宮崎県内での秋季キャンプを取り止めるとし、一方的に通達してきた。また、別の2球団も沖縄県での秋季キャンプを中止するそうだ。日韓関係の悪化が背後にあると思われるが、この流れからすると、韓国プロ野球チームは来年の春季キャンプにも「来ない」と見るべきだろう。
「今年11月、国際大会のプレミア12が日本で開催されます(注・2次リーグ以降)。東京五輪の出場権が懸かっており、こちらにも何かしらの影響が出ないか心配です」(球界関係者)
宮崎、沖縄の2月は、キャンプ地として賑わう。今年2月の話をすると、宮崎市内でホテル予約が取れず、福岡で泊まり、「福岡−宮崎」の連日移動となったメディアもあった。沖縄に至っては、ホテル予約が大変なのは毎年のことで、千葉ロッテの沖縄県石垣島をベースにして、沖縄本島の取材に行くというスケジュールになる。2月の沖縄は、修学旅行シーズンでもあるからだ。
「2月、韓国のプロ野球と練習試合を組む日本のプロ野球チームも少なくありません。その練習試合で新人や若手の力量を測っていました。韓国が日本でキャンプをやらないとなれば、対外試合が減る日本のプロ野球界にも当然、影響が出ます」(前出・同)
「キャンプ=観光資源」の解釈もある。宮崎、沖縄への経済的ダメージも出るだろう。
また、9月17日、侍ジャパンはスタッフ会議を開き、プレミア12から東京五輪本番までのスケジュールと強化策を話し合った。稲葉篤紀監督が先に韓国、台湾を視察したのは既報通りだが、韓国チームの秋季キャンプ、来年の春季キャンプを見ておきたいと思ったはず。その辺に関して、「大きな影響はない」(ベテラン記者)とのことだが、
「海外の審判が主審を務める時、日本の審判とストライクゾーンが微妙に違うとの感想を持つ選手も少なくありません。海外チームと練習試合をすることで、そのギャップを埋めていた選手もいました」(プロ野球解説者)
ストライクゾーンの違いについては、海外チームも「日本の審判によるズレ」を感じている。お互いに本番に向け、試合環境の違いを埋める機会が減ったことはマイナスでしかない。
「プレミア12、東京五輪で野球場の警備態勢についても考え直す必要も出てきました。感情的になって、ファン同士が衝突するようなことがなければ良いですが」(前出・球界関係者)
東京五輪の舞台の1つとなる福島県・あづま球場だが、昨年11月から全面人工芝化などの改修工事が行われてきた。人工芝が新しいと、ボールが勢い良く跳ねることもあり、稲葉監督の会場視察にはそうした改修工事による状況を確認する目的もある。韓国がプレミア12も棄権するなんてことにならないか? いずれにせよ、韓国チームによる相次ぐキャンセルで、日本のプロ野球関係者は試合に集中できなくなってきた(スポーツライター・飯山満)