マジックナンバーが再点灯したものの、苦しい展開の試合が続いている。マジック再点灯に成功した翌日(9月11日)、後半戦の実質的なエースと言っていい桜井が「4回5失点」と炎上し、大敗を喫した。12日は勝利したものの、「大丈夫なのか?」と5季ぶりの優勝を懸念する声が絶えない。
プロ野球解説者の大半は「優勝はほぼ決まりでしょう」と予想していた。同時に、原巨人の真価が問われるのは優勝した後、つまり、クライマックスシリーズ(以下=CS)と日本シリーズのポストシーズンマッチになるとの指摘もある。
「広島が3位を確保しそうな雰囲気です。このまま行けば、CSファーストステージで広島と2位DeNAが戦い、その勝者が巨人と対戦します。対広島で5年連続負け越しを喫した巨人とすれば、『広島とやりたくない』の心境でしょう」(スポーツ紙記者)
それだけではない。丸というと、どうしても昨年の日本シリーズを思い出してしまう。丸は25打数4安打と大不振だった。セ・リーグMVP、打線のポイントセッターである丸を封じ込めたソフトバンク・バッテリーの研究によるものだが、今季の交流戦でも打率2割8分8厘と、パ・リーグの各投手に対し、あまり高い数字を残していない。
広島に詳しいプロ野球解説者がこう言う。
「昨季の日本シリーズでは、丸は完全にタイミングを外されていました。今シーズンですが、広島バッテリーは『丸がどの球種を待っているのか』を考えながら、配球をしています。元同僚なので性格面はよく分かっています」
丸の対広島の打率は、2割6分7厘。シーズン通算では3割0分0厘(9月12日時点)だから、「古巣との対戦は苦手」と見るべきだろう。
丸は巨人打線を牽引してきた中核バッターだ。彼がいなければ、今日の優勝争いはなかったと言っていい。
しかし、CSで苦手の広島とぶつかる可能性が高く、日本シリーズでソフトバンクと再戦する可能性もある。原監督は丸の打順を下げるか、スタメンから外す選択を迫られる時もあるのではないだろうか。
日本シリーズで原監督を語る上で、巨人ファンが真っ先に思い出すのが、1989年だろう。第5戦目、19打席目で出た初安打が満塁ホームラン。自身の前でバッターが敬遠される屈辱も味わった。短期決戦で第4戦まで「ヒットなし」なら、スタメンから外されても文句は言えないはずだ。我慢した藤田元司監督(当時)も立派だが、仮に、丸が短期決戦で苦しんだとしたら、原監督はどうするのだろうか。尊敬する藤田氏の選択に倣うのでは?
いずれにせよ、マジックナンバー再点灯後も苦しい試合が続いているため、「CS、日本シリーズでの巨人不利」を予想する声は少なくない。(スポーツライター・飯山満)