11日西武戦は負ければ首位陥落となる重要な一戦だったが、それでも4打数ノーヒットと柳田のバットから快音は聞かれず。その上、6回表一死一、二塁で迎えた第3打席では、せっかくのチャンスを二塁への併殺打で潰してしまった。
首位打者を2回(2015年・2018年)、最高出塁率を4回(2015年〜2018年)獲得した経験を持ち、2015年にはトリプルスリーを達成してもいる柳田。その主力の不振に、ネット上のファンからも「あの柳田がここまで打てなくなるとは」、「バットをただ振り回しているだけのように見える」、「この調子だと残り試合での復調も厳しそう」といった声が数多く寄せられている。
不振が長引いている理由として、考えられるのは復帰があまりにも「早すぎた」こと。柳田は4月7日ロッテ戦で怪我を負い、翌8日に登録を抹消されているが、当初は全治3週間程度の症状と報道されていた。
しかし、その後復帰時期は何度もズレ込み、実際に試合への復帰を果たしたのは先月8日の二軍・広島戦。3週間から4カ月に離脱期間が延びたことを考えると、怪我が想像以上のものだったということは想像に難くない。
にもかかわらず、その後21日に一軍に戻るまで、柳田が二軍での試合に出場したのはわずか6試合。さらに、この6試合の中では、合計で18回しか打席に立っていない(打数は12)。ともすればオフシーズンの期間にも匹敵するような4カ月のブランクを、たったこれだけの調整で取り戻すのは至難の業と言わざるを得ない。
また、復帰以降の柳田は打撃に苦しむ一方で、3つのエラーを記録するなど守備でも安定感を欠いている。このこともまた、柳田の調子・試合勘が戻り切っていない一つの“証拠”と言えるだろう。
不振の柳田を抱えるチームは、復帰以降の16試合(先月21日〜今月11日)で、「7勝9敗・借金2」と連動するかのように苦戦。一方、優勝争いのライバルである西武は、同期間中に「14勝4敗・貯金10」と対照的な好成績。西武の追い上げに焦って柳田を一軍に上げた結果、さらに状況が悪化する最悪の状況となっている。
こうなると柳田をスタメンから外す、もしくは二軍に落とすといったことも選択肢となり得るが、他の一軍主力選手を見ても9月の成績は全員が3割以下。代役となれそうな選手もいない以上、工藤監督をはじめとした首脳陣は、ただただ柳田の復調を祈るほかないのかもしれない。
文 / 柴田雅人