ネットでは「故意的な犯罪」、「悪質な脱税行為」などと厳しい声が飛び交う中、徳井が「発達障害“ADHD (注意欠陥多動性障害)”なのでは?」とする意見があった。
徳井がADHDを疑われる理由には、いくつかの原因がある。
まず、23日の会見で本人によって語られた「想像を絶するルーズさが原因」という言葉に始まり、過去にはそれを裏付けるようなエピソードがあった。
2009年の12月からスタートした徳井のTwitterを遡ると、年に何度も公共料金の未払いで供給停止された記録があることを確認できる。もちろん金銭的に困窮して支払えない訳ではない。その言い訳はどれも「忘れていた」「支払うのが面倒くさい」といったものである。
また、郵便物の整理・処分が苦手で、自宅のポストがパンパンになるまで放置するといったエピソードや、借りたDVDを期限内に返却せず、何度も高額な延滞料金を支払ったといったエピソードも。その他、相方の福田充徳に「コンビになろう」と持ちかけられた時も、「答えを出すのが億劫だった」という理由で3年間放置したといった逸話もある。
これらはいずれも、ただの“面倒臭がり”や“怠慢”を超えて、一般常識を逸脱したレベルであると同時に、「大人のADHD」に多く見られる特徴でもある。
例えば、診断の国際基準であるDSM(米国精神医学会による「精神疾患の診断・統計マニュアル」)に基づくADHDのチェック項目の中には、「しばしば指示に従えず、学業・用事・または職場での義務をやり遂げることができない(反抗的な行動または指示を理解できないためではなく)」、「課題や活動を順序立てて行うことが難しい」、「精神的な努力を続けなければならない課題を避ける」といった項目がある。
こうした、医学的に発表されている診断基準のチェック項目の一部が、上記で挙げた徳井の発言やエピソードの特徴と一致しているように見えることから、徳井がADHDを疑われる原因になったのだろう。
しかし、これらはあくまでもADHDの特徴の一部にあてはまるというだけであって、たったこれだけの内容では必ずしも徳井がADHDであるとは言い切れない。ADHDの診断項目は全部で22項目あり、幼少期の様子を踏まえた見解が必要となる。また、診断によって不注意優勢型・多動優勢型・混合型に細分化することが可能だ。
ADHDの診断項目は、上記に挙げた項目の他、不注意性では「話しかけられた時に聞いていないように見えることがある」「課題や活動に必要なものをよくなくしてしまう」「外からの刺激によってすぐ気が散ってしまう」といった項目や、多動性では「手足をそわそわと動かし、またはイスの上でもじもじする」「じっとしていない、またはエンジンで動かされたように行動する」「しばしばしゃべりすぎる」、衝動性では「質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう」「順番を待つことが困難である」「他人の会話やゲームなどを妨害し、邪魔することがある」といったものがある。また、これらに加え、その様子が見られた期間や程度など、幼少期の様子も踏まえた聞き取りが必要となる。
これらの診断をより正確に行うためには、心療内科や精神科といった、専門の医療機関にかかり、実際にADHDの疑いのある本人を検査・診察しければならない。発達障害によって生き辛さを感じている人への理解が高まりつつある一方で、偏見の材料にされていたり、極めて勝手な発達障害認定がなされる場面を多く見かけるようになった点は、残念な事実でもある。
引用:北海道大学医学研究院「ADHDにおける診断の実際」DSM-Ⅳ-TR 注意欠陥多動性障害
https://www.ncnp.go.jp/nimh/pdf/H29_dd_3.pdf
本文:心理カウンセラー 吉田明日香