起訴状などによると、女は昨年12月、自宅で同居していた元夫(当時42)に熱湯の入ったやかんを投げつけ、胸や腹などにやけどを負わせて死亡させたとされる。事件直後、元夫は病院に搬送され治療を受けていたが、17日後に多臓器不全のため死亡した。
検察側は「医師や警察官などの証言から、被告がやかんを投げつけたことに疑いの余地はない」として懲役6年を求刑。弁護側は「被告がやかんを投げたとは断定できず、死亡との因果関係も明確ではない」と主張した。今年3月、警察の調べに女は「熱湯の入ったやかんを投げつけてやけどを負わせたが、死亡したのは事故だと思う」と供述していると報道されていたが、この日の裁判では「私はやかんを投げていません。夫が亡くなったことは、本当に辛くて悲しい」と起訴内容を否認したという。今月11日に判決が言い渡される。
この事件にネットにはさまざまな声が寄せられている。「お湯全身に浴びたんだろ。死体はものすごいグロいだろうね。やけどで死亡って凄く辛そう」「やかん投げつけるくらいなら、なんで元夫と同居してたんだろう? その時点で理解に苦しむ」「熱湯で殺すと懲役6年なの? 短くない?? 十分殺人事件として扱っていいと思う」「やけどで死ぬのか…そっちに驚いた。殺すつもりはなかったって言いたいんだろうけど、事故ではないよな」などの意見もあった。
やけどで死亡した事件や事故は過去にも例がある。2013年8月に京都府福知山市の花火大会で露店爆発事故が起こり、被害を受けた10歳の男児、35歳の男性、44歳の女性の3人が死亡した。男児は頭部や背中など体表面の55%をやけどしていたが、事故直後は衣類を洗浄し軟膏を塗る処置を受けて外科医の問いかけにも答えていたという。大阪府立急性期・総合医療センターの藤見聡救命救急センター長によると、「頭部に(大きな)ダメージがないやけどの場合、事故直後は意識がしっかりしているが、時間の経過とともに血液の循環が悪化し死亡するケースは珍しくない」と説明している。範囲が広く重いやけどを負った場合、血液の水分が急激に失われ栄養分や酸素が供給できない状態となる。臓器に流れる血液が不足していき、やがて臓器不全を引き起こし死亡してしまうという。
岡山市の事件の経緯は不明だが、いずれにせよ熱湯のやけどでも死に至るケースがある。特に幼児のやけどに関しては注意すべきと言えるだろう。