昨年、「カープ女子」が流行語になるほど、女性ファンが急増。その結果、昨季のカープ主催試合(72試合)の観客動員は、前年比21.7%増の190万4781人となり、球団史上最高となった。
今年は、それに拍車を掛け、1月20日までに、8300席用意された本拠地マツダスタジアムの年間指定席が早々に完売した。
3月1日は本拠地で開催される同27日からの開幕戦のチケット発売日だったが、マツダスタジアムには2月21日頃から徹夜で並ぶ人が出始め、同28日早朝には大行列になったため。球団は急きょ、約2500枚の整理券を配布した。
カープ人気沸騰の最大の要因は、黒田博樹投手(40)がメジャーからの約20億円のオファーを蹴って、8年ぶりに復帰したことだ。阪神タイガースを自由契約になった新井貴浩内野手(38)が復帰した影響も小さくないだろう。この調子なら、今季は球団史上初の観客動員200万人突破が現実味を帯びる。
そんななか、そのカープ人気に水を差す事件が起きた。広島球団が公式グッズの納入業者に対し、消費増税分を価格に上乗せしないよう求めたとして、公正取引委員会は2月26日、消費税転嫁対策特別措置法違反(買いたたき)で再発防止を勧告した。
公取委によると、球団は昨年4月の消費増税にあたり、チームのロゴが入ったタオルやユニホームなど公式グッズ約2000点を納める13都府県の業者100社に対し、増税分を転嫁しないよう要請。このうち、圧力に屈した34社が泣き寝入りさせられていた。
球団は昨年12月に、公取委の調査を受けるまで、「違法性があるという認識はなかった」と回答。価格を据え置かせた34社には、増税分の差額約509万円を支払ったという。
松田元オーナーは「関係する仕入れ先の方々にご迷惑をおかけし、ファンの皆さまにご心配をおかけし、深くお詫びいたします」とのコメントを発表した。
カープは昨年4月の消費増税後も、グッズ販売価格を据え置いていたという。結局しわ寄せは、納入業者だったということか。
(落合一郎)