『寸止め海峡(仮題)』とは、地上波におけるコント作りに閉塞感を感じた松本が1994年、入場料金を1万円に設定したお笑いライブ。藤井フミヤや坂本龍一、ラサール石井や素人時代の黒沢かずこ(森三中)などが自腹で鑑賞し、笑福亭鶴瓶や井筒和幸監督は今でも登場キャラクターを覚えているほど、まさに伝説と呼ぶにふさわしい公演だ。
出演していた板尾は、「きっちり台本どおりにやらないコント。よく俳優さんから『お芝居うまいですね』って言われるけど、毎回台詞が決まってるわけじゃないから、ああいう素の顔になってた」と制作過程を明かし、倉本は、「とにかく、人がやってないことをやろうって邁進してる時期やったからね」と続けた。まだ20代だった今田耕治、東野幸治も出演しているが、コント『柳田という男』で、リアルに追いつめられていく東野の狼狽は必見だ。
同ライブも収録されているBlu-ray BOX『HITOSI MATUMOTO VISUALBUM“完成”』(豪華5枚組)は、10月2日に発売。松本監督デビュー作の『大日本人』と、2作目『しんぼる』と合わせて、3タイトル同時発売となる。
今週土曜日(5日)にはいよいよ、最新作『R100』が封切り。すでにカナダの「第38回トロント国際映画祭」に出品された同作を板尾は、「予備知識なくして観たけど、アホですよ。アホ丸出しです」と、賛辞の言葉でPRした。(伊藤雅奈子)