9月7日のヤクルト戦(神宮)で5番に座った村田は1回表、無死一、二塁の場面で空振り三振。2回表の第2打席では一死一、二塁の場面で登場するも、三塁ゴロで併殺打に終わった。6日の阪神戦(甲子園)では、3度の得点圏で凡退しており、この時点で4-0とリードしていた巨人・原辰徳監督は、精彩を欠く村田を2回裏に早々に交代させた。
原監督は「ずっと出ずっぱりだから、明日元気に会おうということ」と語ったが、岡崎郁ヘッドコーチは「彼にとっても屈辱的な交代だと思う。明日、どういう姿でグラウンドに出てくるか楽しみ」と懲罰交代だったことを明らかにした。村田は不本意な交代させられた上、試合中に異例の帰宅命令が出て、自宅に帰らされる屈辱を味わった。
決意の村田は頭を丸めて、8日のヤクルト戦(新潟)に臨んだ。しかし、打ったのは二死走者なしの第4打席での左前安打のみで、走者を置いた3回の打席では凡打に終わり、チャンスではいぜんサッパリだった。
そして、9日のヤクルト戦(新潟)では2打席凡退の後の6回表、一死満塁の得点機に0-3とビハインドだったこともあり、高橋由伸外野手を代打に送られてしまった。横浜時代なら、絶対にあり得ない事態。7日の懲罰交代に続き、チャンスで代打を出されたことで、“ハマの4番”のプライドは切り裂かれた。
10日現在、村田は打率.261、11本塁打、51打点で、すべての部門で阿部慎之助捕手のみならず、坂本勇人内野手、長野久義外野手より成績は下回っている。得点圏打率は.242でリーグ・ワースト8位。期待に応えられない村田に、原監督の我慢も限界に達し、非情の采配に転じたのである。
しかし、こんな意見もある。「去年の村田の成績は打率.253、20本塁打、70打点。それを思えば、今年の村田は、それなりに頑張っているのではないでしょうか。去年の得点圏打率は.196で、両リーグ通じてワースト。もともと、チャンスに弱い選手なのですから、過剰な期待をする方が、そもそも無理な話です」(某スポーツ紙記者)。
万年最下位の横浜にいたから目立たなかっただけで、村田の勝負弱さは折り紙つき。人気球団に移籍したばかりに、勝負弱さが浮き彫りになってしまった村田。とはいえ、自ら望んで巨人に移ったからには、それもまた、いたし方ないところか。
(落合一郎)