こうなると、再び国産のゴジラ映画もまた見たい! と思うのはファン共通の願いだと思うが、まだ復活には時間が掛かりそうとの声も多い。
現時点での日本産ゴジラ映画最終作である『ゴジラ FINAL WARS』の公開からはすでに6年の時が経つが、その間に公開された怪獣映画『キングコング』『小さき勇者たち ガメラ』『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』といった作品たちはそれぞれ、今までの怪獣映画にはない新たな魅力が描かれ、新たな怪獣ファンを獲得することはできたものの、興行的には苦戦してしまった。特にピーター・ジャクソン監督による『キング・コング』は、世界中で唯一、日本でのみ興行的には当たらなかったという状態で、世界に誇る文化である怪獣映画はいまや、日本人による評価が一番低いという有様なのかもしれない。
だからこそ、怪獣王ゴジラの復活も、怪獣映画発祥の地である日本ではなく、ハリウッドでということになったのだろう。日本人が作ったものなのに、むしろ海外での方が評価が高いという意味では、海外でのジャパニメーションや北野武監督の映画に対する評価などとも似ているのかも知れない。
今や怪獣映画に対して世界一厳しい国となってしまった感もある日本であるが、久々に根強い怪獣人気を感じさせてくれたニュースもあった。
デアゴスティーニ・ジャパンから隔週で発売されている『東宝特撮映画 DVDコレクション』の売り上げが、早くも100万部を突破した。毎号、東宝特撮映画のDVDが付いてくるというこの魅力的なシリーズが、多くの人々の心を掴んだのだ。かつての名作たちの面白さに、改めて気付かれた方も多いことだろう。
8月30日発売の『東宝特撮映画 DVDコレクション』では、平成元年に公開された記念すべき平成最初のゴジラ映画であり、今でも多くのファンに愛されている名作『ゴジラvsビオランテ』が登場する。
このゴジラvsビオランテから、ゴジラvsデストロイアまで続く6作品は、ファンの間では「vsシリーズ」または「平成ゴジラシリーズ」などと呼ばれているが、このシリーズが偉大だったのは、怪獣ブームでもなかった時代に興行的に大成功したということだろう。
平成に突入して、昭和の人気者であった「ウルトラマン」や「ガメラ」といった怪獣界の人気者の新作もなかった時代、ほとんどの子供にとっても「怪獣」という存在は特に求められてはいなかったようで、ゴジラvsビオランテも、興行的には必ずしも大当たりというわけにはいかなかった。
しかし、この映画が公開されたことで、一部の子供たちが「怪獣映画ってこんなに面白いんだ!」ということに気付かされ、子供たちの間で口コミも広まり、その後に続くvsシリーズは、日本映画を代表する大ヒットシリーズとなったのである。
100万部突破の『東宝特撮映画 DVDコレクション』から、名作『ゴジラvsビオランテ』がリリースされることにより、現在の子供たちの間でも再びゴジラブーム、怪獣ブームが起こることを、筆者は願ってやまないのである。
(「作家・歩く雑誌」中沢健 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou