三浦監督は「2-3」とDeNA1点ビハインドの7回裏1死二、三塁の場面で、「1番・左翼」で先発していた主将・佐野恵太に代え楠本泰史を代打起用。好機で下げられた佐野はベンチ内で涙を浮かべ、試合後も「チームが勝つ可能性が高いものを選択して采配する監督の決断だったので、打者として悔しいという思いが一番です」と悔しさをにじませたことが伝えられた。
佐野は6日終了時点で『97試合・.257・8本・39打点』と今一つな上、7月の月間打率が『.224』、8月も6日までに『.150』と打撃不振が長引いている状況だった。三浦監督は今の佐野が結果を出す可能性は低いと考え代打を送ったようだが、佐野の反応に驚いたファンも多かったようだ。
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「2017年のプロ入りからDeNAでプレーするプロ7年目・28歳の佐野は、長打・巧打を兼ね備えた打撃を武器に、ドラフト9位指名から一軍の主軸まで上り詰めた外野手。2020年には首位打者、2022年には最多安打を獲得しています。また、試合前ミーティングで雑学を披露し場を和ませる、雨天中止決定後にグラウンドでダンスを披露しファンを楽しませるなどムードメーカーとしてもチームに貢献しており、2020年からは主将も任されています。その佐野が人目をはばからず目を真っ赤にしていたことに、驚きやショックを抱いたという声もファンの間では見られます」(野球ライター)
佐野は6日の試合後には「来週も自分ができることと最大の準備は怠らずにこれまで通り、試合に入っていきたい」と前を向いたことも伝えられている。ただ、結果を出さないとまた代打を送られるという焦りなどがあれば、スイングに力みが生じますます球を捉えられなくなっていく可能性もゼロではないだろう。
さらに、球団OBの高木豊氏(元大洋・横浜)は佐野だけでなく、チーム全体にも悪影響が及びかねないと指摘している。高木氏は8月7日に自身の公式YouTubeチャンネルに投稿した動画内で、「佐野に代打を送ったとか勝負手を使ったんだけど、いろいろ勝負はしてるんだろうけども、結果が伴わないと不協和音になりかねない」と不安視している。
佐野は2019年オフにメジャーへ移籍した筒香嘉智(現米独立リーグ)が務めてきた主将、左翼、4番を翌2020年から一手に担いながら、同年から2022年まで3年連続で打率3割をクリアするなど期待に応えてきた絶対的主力。同僚からの信頼も厚い選手だが、その佐野を無下に扱うと、本人はもちろん他選手からの求心力も低下しチームが空中分解するという展開もあり得ない話ではない。
三浦監督は8日・阪神戦前、佐野への代打策について「結果については監督の責任」と改めて言及したといい、迎えた試合では「1番・左翼」で佐野をスタメン起用している。今後も起用を続けるにしても、1度二軍に落として復調を図るにしても、本人と話し合い信頼を強調するなどしてメンタルケアを行うのも一手だろう。
6日に試合に敗れたことで貯金がゼロになり、自力優勝の可能性も消滅したDeNA。三浦監督が今後佐野をどう扱っていくのかも、立て直しの成否を左右するカギになりそうだ。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
高木豊氏の公式YouTubeチャンネルより
https://www.youtube.com/@takagiyutaka4045