試合後の囲み会見でも、最初の質問は悲観的なものとなったが、指揮官はこう一笑した。
「12球団で一番得点を挙げているんやで。打ってるってことやん。めちゃくちゃ点取ってるってことちゃう? そやろ?」
試合数の違いはあるが、72得点は12球団最多だ。ドラフト1位ルーキー・森下翔太選手(中央大)の活躍が大きい。岡田監督の言う通りなのだが、攻撃陣の残した数字はダントツに高いわけではない。
「試合前、岡田監督は阪神OBのプロ野球解説者と話をしていました。セ・リーグ5球団との対戦が一巡するまではガマンするかもしれませんが、攻撃陣を微調整していくみたいなことを打ち明けていました」(球界関係者)
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その「微調整」だが、新加入のシェルドン・ノイジー選手を指して、
「日本のストライクゾーンを把握していない。悩んでいる」
と、こぼしていたそうだ。
同日、ノイジーは「3番左翼」で4打席ノーヒット。6回の攻撃で四球を選んでいるが、投げた瞬間にボールカウントと分かる失投であり、「ストライクゾーンに悩んでいる」という岡田監督の心配は解消されていない。
「72得点も挙げたわりには、打線が爆発して勝った印象はありません。4番・大山悠輔選手、5番・佐藤輝明選手も本来の調子には程遠く、ノイジーを含めたクリーンアップの3人に怖さが感じられないからでしょう」(プロ野球解説者)
前出の関係者によれば、岡田監督は4番大山が打撃不振であっても、「打順を下げる」ことはしないという。主砲の打順を変えることは「相手チームに不調を教えるのと同じ」の持論があるからで、本当にダメだと判断した時はスタメンから外すと決めているそうだ。
しかし、「岡田監督のゴーサイン待ち」とされる“打順変更”のプランもないわけではない。2つある。1つはノイジーと「6番・森下」の打順の入れ替えだ。
「ドラフト3位ルーキーの井坪陽生選手(関東一高)が、ファームで絶好調なんです。18打数10安打(同時点)、打率5割5分6厘。高卒一年目、それもこんなに早くプロ投手のスピードに対応できるとは…。一軍昇格は時間の問題、走攻守3拍子揃った逸材です」(前出・球界関係者)
「ノイジーに代わって、スタメン左翼」は大げさかもしれないが、岡田監督はテレビ局の企画で実現したセ・リーグ6球団の監督談義で、「1位ドラフトが外れて良かったワ」と、巨人・原辰徳監督にジョークを浴びせた。
1位入札の浅野翔吾選手(高松商)が獲れていたら、井坪の指名はなかったという。「外れて」の言葉に含まれていたのは、森下だけではなかったようだ。
原口文仁選手、移籍の渡邉諒選手など“控え組”も打撃好調だ。岡田監督は選手層の厚さで戦い抜けると見ているのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)