「そら、こんだけ打って点取ったわけやから。悪いところ? ないわな、やっぱり」
と笑っていた。
2月15日、阪神が楽天との練習試合に打ち勝った。注目選手は2人、ドラフト1位ルーキーの森下翔太(中央大)と「5番三塁」でスタメン出場した佐藤輝明だ。
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「森下は途中出場ですが、打順は『4番・大山悠輔』のところに入りました。岡田監督の配慮であり、大きく育てていこうとしていることが改めて伝わってきました」(現地記者)
森下のバットから快音は聞かれなかった。
しかし、前日に「二軍の試合で慣れさす選手じゃないからな」と指揮官は言い切っており、このまま一軍帯同となることが決まっていた。
「結果」を求められたのは、佐藤の方だ。
「2月11、12日の紅白戦でノーヒットでした。バットのグリップエンドのところを下げて構える新打撃フォームがまだしっくり行ってないようで」(前出・同)
その佐藤が初回に適時二塁打を放ち、4打数3安打4打点と「結果」を出した。
紅白戦後の2日間で何があったのか? 14日の打撃練習終了後だった。ベンチに退いた佐藤はバッティンググローブを外し、次の練習会場に向かう準備をしていた時、ジェリー・サンズ氏が歩み寄ってきた。
サンズ氏はチームの駐米スカウトとなり、2人の再会は約2年ぶり。佐藤も笑顔を返したが、サンズ氏はこう言ったそうだ。
「タイミングを取るのが遅れているよ」
時間にして10分程度、2人はバットスイングを始動させるタイミングについて話し合っていたそうだ。
佐藤の爆発がこのサンズ氏の助言によるものだとすれば、「打撃担当のコーチ陣は何をやっていたんだ?」ということになるが、チーム関係者はこう否定する。
「いや、岡田監督が(サンズ氏に)言わせたんじゃないの?」
今春キャンプと昨年の秋季キャンプを比較すると、異なる点もある。岡田監督が選手に直接話し掛けるシーンが激減した。
「直接、話をすると、エコ贔屓していると誤解される場合もあります。秋季キャンプ中、岡田監督が直接指導をしたり、助言をすると、それだけでニュースになっていました。選手にアドバイスしたいことがあれば、担当コーチや第三者を介して伝えるようにしています」(前出・チーム関係者)
第一次政権でもそうだった。選手を叱る時、担当コーチも呼んでその両方に怒っていた。
「森下に対しても、打席に立つ位置を修正させています。岡田監督によると、10センチくらいホームベース寄りに立って構えた方が良い、と。その件も二軍の担当コーチを介して伝えました」(前出・同)
また、15日の楽天戦で岡田監督は高卒2年目の捕手・中川勇斗も一軍に呼んだ。昨季はファームで打率2割9分5厘、本塁打3と好成績を残している(50試合)。正捕手争いはまだ無理だとしても、「トラの秘密兵器」だという。岡田監督は、佐藤たち同様、この若武者にどんな“伝言”を与えるのだろうか。(スポーツライター・飯山満)