松田は2013年と17年のWBC、15、19年はプレミア12大会の日本代表メンバーでもある。現・侍ジャパンにも当時の強いキャプテンシーを知るメンバーも残っているだけに、松田の再起を喜ぶ声が多く聞かれた。
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「それにしても、“両方”とも獲るとは…」「両方」とは、先に巨人帰還が決まった長野久義のことだ。チームを牽引でき、若手のお手本ともなるような――。
長野帰還が決まった11月2日、そんな風に“獲得理由”が伝えられた。
今回の松田獲得についても、同じなのだ。右の代打としての切り札的存在、経験値、異なるのはポジションが、松田が内野で、長野が外野ということだけだ。
「長野の帰還トレードは広島から持ち掛けられたものです。広島が秋山翔吾外野手をシーズン途中で獲得した後、長野と話し合いが行われ、夏場には巨人側に連絡したと聞いています」(球界関係者)
巨人が正式に“受け入れの返事”を広島側にしたのは、ドラフト会議の翌日だという。ドラフト会議が行われたのは、10月20日。松田がソフトバンク退団の会見を開いたのが9月28日であり、
「巨人は長野と松田を天秤に掛け、長野を選んだのではないか?」
との見方もされていた。
「両方を獲るとは…」の驚きの声が出たのは、こうしたウラ事情にあったからだ。
だが、今回の松田獲得と同時に、新たにこんな話も飛び込んできた。
「第二期政権と同じだ」
原辰徳監督が2度目の巨人指揮官を務めたのは06年から15年シーズンまで。その主に前半期だが、若手選手の拠り所ともなっていたのが、大道典良(当時・典嘉、現ソフトバンクコーチ)と木村拓也(故人)の両ベテランだった。
「阿部慎之助コーチがまだ若手だったころですよ。ロッカーを大道、木村の両ベテランの隣に移してもらい、助言を仰いでいました」(前出・球界関係者)
木村はセカンドの定位置を奪いに行き、大道は代打として、チームを支えた。
「大道はグラウンド整備がされる5回裏の後、ファールグラウンドに出て、ストレッチ運動をしていました。素振り室とグラウンドでは照明の明るさが違うと言って、眼を慣らしていたんです。試合終盤、出番があるかないか分からない一打席のために」(前出・同)
木村も年齢を感じさせない練習量でチームを牽引した。
経験豊富なベテランが2人もいれば、一方が若手を叱った時、もう一方は慰め役に回ることもできる。今回の長野、松田のダブル獲得は第二期政権の再現を狙ったのかもしれない。
「坂本勇人の次のリーダーは誰になるんですかね? そこが巨人の弱点。両ベテランの獲得が岡本和真の成長につながれば」(プロ野球解説者)
松田は気持ちを前面に出してくるタイプだ。
岡本から三塁の定位置を奪うくらいの気概でいるはずだ。長野も同じ気持ちだろう。近年、レギュラーを脅かす若手が出て来なかったせいもあるが、主力は試合に出ることを当たり前のように捉えている。巨人ナインは“お手本”との見方を改めた方がいい。(スポーツライター・飯山満)