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バス停で寝泊まりするホームレスの女性が襲われた実際の事件をモチーフに、社会の矛盾に怒りをぶつける同作。主演の板谷は、高橋伴明監督作品は連合赤軍事件を描いた『光の雨』(2001年)以来の出演となる。「監督は『光の雨』で怒りを封じたと話していて、『怒りを封じた時と、怒りを出す時にお前がいるから因縁を感じる』と言ってくださいました。世の中に対する強いメッセージが込められている映画だと思います」と挨拶した。
板谷は自身が演じた三知子を「どの女性も『私みたい』と思える共通項がある」と分析。役作りのため居酒屋でバイトをすることになったが、「誰も気付かなかったんです。監督から『お前、誰も気付かないのも寂しいな』と言われました」と明かした。「居酒屋で働いた経験がなくて、所作を取り入れたかったのですが、働く女性たちと出会ったことが糧になりました。みなさんいろいろな事情があって勉強になりましたね」と振り返った。
居酒屋の店長を演じた大西礼芳は、店員役のルビー・モレノに助けられたそう。「カメラの回っていないところでも店長と呼んでくださったことが嬉しくて、それがお芝居にも響いた瞬間があったんです。すごく幸せな経験でした」と感謝した。モレノも「家族みたいになって楽しい現場でした。またみんなと一緒に仕事したい」と笑顔で返していた。
最後に高橋監督から、「いろいろな人物や出来事が散りばめられていて、つなげていくと、なぜ日本が今のような状況になっているか、わかるんじゃないかと思いますし、気づいた方はもっと怒っていただきたい。最後まで仕掛けがあるので、エンドロール後も見てもらえると嬉しい」と呼びかけた。
(取材・文・写真:石河コウヘイ)