ホテルの出発時間が約1時間遅れたメイウェザーは、大会が始まってから会場入りすると、ゆっくりとバンテージを巻き、今回もアップはせずにリングへ。かつてのライバル、マニー・パッキャオがリングサイドで見守る中、未来と対峙。国歌斉唱の後、花束贈呈が行われた際、事件は起こった。オークションで420万円のチケットを落札し、メイウェザーへの花束贈呈の特典を得た政治団体ごぼうの党、奥野卓志代表が花束を贈呈するのかと思いきや、メイウェザーの目の前で花束を叩き落とした。この行為に場内はもちろん、プレスルームも騒然。PPVで生中継を観ていた世界のファンからSNSを通じてあっという間に批判が集まった。しかし、メイウェザーは動揺することはなく、冷静にその花束をセコンドに渡す神対応。そんなメイウェザーに称賛の声もたくさん寄せられていた。この件についてRIZINは、榊原信行CEOがこの後に行われた『RIZIN.38』でリング上から、「残念なことに世界中で流れてるんで、日本人の恥を晒すことになったことをほんとに悔しいし、今後二度とこんな事が起きないように全力でやります。許してください」とリング上で謝罪している。
注目の試合は、一方的な展開だった天心戦とは違って、未来は1Rを大きなダメージを食らうことなく乗り切る。未来は「気持ち的には手応えと言うか、ノッて来たって感じでしたね。全然闘えるな」と思ったという。2Rに入っても未来はメイウェザーの動きをかわしながら、未来の左右のストレートがメイウェザーにヒットするなど、未来への期待感から場内のボルテージも上がって行くが、2R終了間際にメイウェザーの右ストレートがヒットしてしまい、立ち上がった未来の目は焦点が合わずレフェリーが試合を止めた。
バックステージで未来は「悔しいっすね。頭痛いっす」とまだ呆然としている様子。ダウンした理由についても「なんかよく記憶がなくて。さっき見返したんだけど『なんでアレで倒れたのかな』って。なんでアレで倒れたのか謎なんですけど、メチャクチャ頭痛いんで。多分ですけど、ちょっと気を抜いてたかもしれないですね。最後、試合もう終了で、1R目で最後、様子見て終わったから次もそんな感じなのかと思ったところで急に入って来て、右フックのクロスになって効いたのかなと思いますね」と1R目が順調だったことが裏目に出てしまったようだ。
メイウェザーは今回も「エキシビション」「楽しんだ」という言葉を何度も使っていたが、途中から表情が変わったのは明らかだ。しかし、「試合中に真剣になったか?何のために真剣になる必要があるのか?最初の方は自分は軽い打撃を当てて様子を見ていたが、彼はだいぶ強い打撃で返してきた。なので、自分もボディに2発強めの打撃を与えて『そっちがそういうつもりなら、こちらも打つぞ』というメッセージを送った。それを続けても彼は舌を出したりニコニコ笑っていた。『あぁ、そういうことか』と。『いつまで続くかどうかやってみるか』と思った」とキッパリ。さらには「フロイド・メイウェザーが動くというだけで何百万ドル、何千万ドルというお金を出す人がまだいくらでもいる。そんな状況の中、なぜ自分がそのようなリスクを負ってまでそういった厳しい相手とやらなければならないのか?もっと楽して稼ぐという選択肢があるなら私はそれを選ぶ」とまで言い切ったのだから、あっぱれと言うしかない。
この日はセミファイナルで、メイウェザーのボディガードであるジジを倒した皇治が「次は俺しかおらんやろ?」と地元・京セラドーム大阪での対戦を呼びかけていたが、これからもメイウェザーは「楽して稼げる」道を歩み続けて行くのだろう。
◆RIZIN◆
『超RIZIN』
2022年9月25日
埼玉・さいたまスーパーアリーナ
観衆 23105人
▼スペシャルエキシビジョンマッチ RIZINスタンディングバウトルール:3分3R
○フロイド・メイウェザー(2R 3分15秒 TKO)朝倉未来●
※右ストレート
(どら増田)