“新4番”山口航輝外野手の先制3ランで快勝したのが9月7日。自身初の2ケタ到達であり、8日の北海道日本ハム戦でも、「11号を!」と期待されていた。
試合には勝利したが、山口は4打数ノーヒット。4打席とも走者のいない場面で回ってきた。4番打者の前に走者を溜めるのが野球の鉄則だ。ロッテ打線はまだ粗削りなところも多いが、それも「成長の過程」と思えば、楽しみの一つである。
4番・山口、高部瑛斗、松川虎生、安田尚憲、ファームには藤原恭大、平沢大河もいる。そして、令和の怪物・佐々木朗希がいる。若い彼らがどんなチームを作り上げていくのかと思うと、ワクワクしてくる。
そんな若いチームの主軸を任された山口だが、ロッテ首脳陣も「一軍定着は予定よりも早かった」と見ているのではないだろうか。
山口は2000年8月18日生まれ。東京ヤクルトの村上宗隆は同年2月2日生まれだから、一学年上。阪神・佐藤輝明も1999年生まれなので、NPBでは最も若い主砲ということになる。
「予定よりも早く」は、年齢のことだけではない。
山口は18年10月のドラフト会議で4位指名されている。同年の注目球児と言えば、吉田輝星(現・日本ハム)。金足農ブームを巻き起こし、夏の甲子園大会を制した大阪桐蔭の藤原、根尾昂(現・中日)などもいた。
「明桜高時代、吉田と秋田県大会の決勝戦で対戦したのは有名です。その後、吉田は甲子園の決勝戦まで駆け上がっていくわけですが、当時の山口は右肩を壊していました」(アマチュア野球担当記者)
投手だったが、2年生夏の県大会決勝戦で故障した。
“最後の夏”を争った時は外野手で試合に出ていたが、ロッテに指名された時のアナウンスは「投手」だった。
「投打ともに一級品でした。ピッチャーで評価している球団の方が多かったようです」(前出・同)
そのドラフト会場でロッテスタッフを直撃したが、「バッターで」と話していた。
同年の1位は同じ高校生外野手の藤原。右肩も完治しておらず、「1位と4位、どちらがチャンスをもらえるか」と考えれば、答えは明白だ。少し“遠回り”をさせられるのではないかと思われた。
「山口の長所は初球からガンガン行くところ。ホームランは2ケタに到達しましたが、まだ打ち損じが多い」(プロ野球解説者)
打率2割5分6厘、打点40(8日終了時点)。4番バッターとしては物足りない数値だ。
しかし、「中田翔に似てきた」(球界関係者)との評価も聞かれた。スイングにパワーがあり、打球が高く上がるところは近いものがある。ホームラン量産となるまでにはもうしばらく掛かりそうだが、楽しみな逸材である。(スポーツライター・飯山満)