問題となっているのは、「1-3」とロッテ2点ビハインドで迎えた4回裏2死一塁でのこと。打席の岡大海がフルカウントから放った三塁線際への痛烈なゴロに対し、オリックス三塁手・宗佑磨が逆シングルからのジャンピングスローと懸命なプレーを見せるも内野安打に。打球処理の間に二塁へ到達した一走・井上は、宗の一塁送球がワンバウンドで左方向にそれたのを見て隙と感じたのか、そのまま二塁を蹴り一気に三塁を陥れようとした。
ところが、宗の送球を捕球したオリックス一塁手・頓宮裕真がすぐに三塁へ投げ返した結果、ボールは井上がまだ三塁アンツーカーに差し掛かったばかりの段階でベースカバーの遊撃手・紅林弘太郎に渡る。この直後に井上は三塁へ滑り込んだが腰を落として待ち構えた紅林に余裕を持ってタッチアウトにされ、苦笑い交じりに天を仰いだ。
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この井上の走塁死を受け、ネット上には「井上マジか…今の暴走はもったいなさすぎる」、「投球と同時にスタート切ってて、それでも易々とアウトにされたんだから完全な判断ミス」、「岡のヒットをフイにしたくせに何呑気に笑ってんだ」、「刺された直後にヘラヘラしてるのも腹立つ、軽率にチャンスを潰した反省が感じられない」といった批判が相次いだ。
ボーンヘッドと問題視される井上の走塁ミスだが、一部からは井口資仁監督が直前に見せた態度が影響したのではという指摘も上がっている。井口監督は「0-3」とロッテ3点ビハインドの2死二、三塁で茶谷健太がタイムリー安打を放った直後、右手を右から左に払うジェスチャーを交えつつ首をわずかにかしげるなど、茶谷が二塁を狙わなかったことに不満をにじませたような様子が中継カメラに抜かれている。ネット上には「ちゃんと走らないと茶谷みたいに怒られるって思ってたんじゃないか?」、「茶谷の走塁姿勢に監督怒ってたけど、あれで井上は委縮してたのでは」といった意見も散見される。
井上の走塁死直後にはガックリうなだれるような仕草を見せていた井口監督。裏目に出た積極走塁にどのような心境を抱いたのだろうか。
文 / 柴田雅人