8月25日、阪神がDeNAの連勝を止めた。スコアは「5対0」、ワンサイド・ゲームである。7回表、継投策に入った阪神・矢野燿大監督は、二番手投手に岩崎優を告げた。
「メンタル的にも立ち直ったのかどうか心配です。2戦連続で救援に失敗し、そのショックで首脳陣も『配置換え』を示唆していました」(在阪メディア)
今季はクローザーを任されてきた。2戦連続での救援失敗後の21日(巨人戦)、9回のマウンドに立ったが、点差が大きく開いていた。岩崎が8回以前に登板するのは3月29日以来、7回の登板は今季初だ。
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二番手・岩崎がコールされた時、ちょっと球場がざわついた。
こんなことを考えてしまった。
この時点でのスコアは「4対0」、なんとかゼロに抑えたものの、二死満塁で対峙したDeNAの3番・佐野にホームランが出ていたら、同点。適時打が出ていたら、接戦となっていた。
その接戦の9回で、矢野監督は誰をクローザーで使うつもりでいたのだろうか。
「奇しくも、岩崎が2度目の救援に失敗した14日以降、『1点リードで9回』というゲームはありませんでした。小林(慶祐)、ケラーで締めた試合もありましたが、僅差ではなかったので」(プロ野球解説者)
同日、「5対0」の快勝ムードの中、小林が9回マウンドに向かったが…。
試合後、矢野監督は7回に岩崎を投入したことを質問され、こう答えていた。
「まあ、いろいろ考えながら、スグル(岩崎)をいいところで使って行きながらと考えて、7回に」
関西方面で活躍する前出のプロ野球解説者がこう続ける。
「新クローザーは決めていません。当面は、小林、ケラー、湯浅京己を交代で使っていき、岩崎には早く立ち直ってもらいたいと思っているようです」
他意はないのかもしれないが、矢野監督は完封勝利について聞かれた際、「勝ちパターンのピッチャーが…」と答えている。同日登板したリリーバーは岩崎、アルカンタラ、小林。敗れた前日の同カードだが、先発の伊藤将司以外では馬場皐輔、島本浩也の2投手しか投げていない。その前日の継投を指して、「勝ちパターンのピッチャーを温存した。負けたけど、ブキミさは残った」と、矢野采配を称賛する声も聞かれた。
しかし、現状は「岩崎の復帰待ち」だ。僅差で9回を託せるピッチャーがいないとなれば、終盤戦の戦いは厳しくなる。
7回の二死満塁のピンチをゼロでしのいだ後、岩崎は下を向いたままベンチに下がって行った。ポーカーフェイスではあるが、表情は2試合連続での救援失敗となった時とまるで同じだった。
「救援失敗後の岩崎? チームに帯同し、調整を続けていました。金村暁投手コーチが練習中に話し掛けたりしていましたが」(球界関係者)
阪神が「首位ヤクルト追撃」に加わるには、岩崎の復活が不可欠だ。僅差で9回を託せるピッチャーが決まらない限り、再浮上はない。(スポーツライター・飯山満)