NPBデータによれば、1988年に「開幕10連敗」の記録が残っていた。34年ぶりの屈辱であり、この3連戦でそれに並ぶ“危険性”も出てきた。
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「広島の先発は床田寛樹でした。床田との対戦ですが、今季は3戦全敗。昨年8月の対戦から数えれば、5連敗となります」(プロ野球解説者)
試合後、矢野燿大監督は“虎キラー・床田”についてこう答えていた。
「球種も多いからなあ。変化球で追い込んで、最後に真っすぐというパターンが多いと思うけど、絞りにくいと言えば、絞りにくい」
客観的な口ぶりでのボヤキ。イヤな負け方を喫した時、矢野監督はそんな物言いをする。
本当に悔しかったのだろうが、こんな見方もできる。「勝てない」のではなく、「負けるべくして負けた」と――。
4回表、先頭の1番・島田海吏が出塁すると、矢野監督は2番・中野拓夢に「送りバント」のサインを出したが、失敗。それに対し、広島の攻撃は“確実”だった。5回裏、一死一、二塁の場面で打席が回ってきた床田は送りバントをきっちりと決めてみせた。この違いが、明暗を分けた。
「矢野監督は選手を信頼し、この試合に臨みました」(球界関係者)
試合前、「打線の組み換え」も検討されていたそうだ。
左腕・床田に対し、阪神打線は1番・島田から4番・佐藤輝明まで左打者を並べている。
「島田・中野」の1・2番、「近本光司、佐藤、大山悠輔」のドライチ・クリーンアップがAクラス浮上の勝因であり、最終的に「打線変更はチームが浮足立つ」との結論に至り、いつも通りの打順で試合を迎えたそうだ。
「試合が始まった直後はそれほどでもなかったんですが、1回裏、阪神・西勇輝がマウンドに上がったころから雨足が強くなってきました」(スポーツ紙記者)
この辺にも“トラの運のなさ”を感じたが、試合途中、左の先発要員として獲得したチェン・ウェインが「明日(22日)、ウェーバー公示される」との一報が飛び込んできた。事実上の戦力外通告である。
「左の先発なら、伊藤将司がいて、及川雅貴、桐敷拓馬、鈴木勇斗らも控えています。高橋遥人も順調にリハビリを続けています」(前出・プロ野球解説者)
つまり、戦力が重複しているのだ。「左投手は何人いても」とも言われているが、野手陣を見ていると、右投げ左打ちも多い。4人も左バッターが続く“偏重打線”となった責任の一端はフロントにもある。
「島本浩也が支配下登録されました。元オリックスのアデルリン・ロドリゲスの獲得も決まったので、支配下登録70人が完全に埋まりました。チェンを切って、69人に戻すということは、新たな補強があるのでは?」(前出・球界関係者)
対広島の連敗ストップはもちろんだが、歴史的大敗の原因究明も急がなければならない。(スポーツライター・飯山満)