問題となっているのは、「3-1」と阪神2点リードで迎えた7回裏でのこと。この回阪神は先頭・近本光司のヒットから無死一、二塁とチャンスを作ると、首脳陣はここで打席の大山悠輔にバントを指示。大山はきっちりバントを決め1死二、三塁となった後、糸原健斗が2点タイムリーを放ち追加点を奪った。
ただ、掛布氏はこの日「5番・一塁」で先発起用された大山へのバント指示について「素晴らしいバントですけど、このバントで大山は喜んでほしくないよね」、「(逆に首脳陣に)怒っていいと思うんですよね、僕は」とコメント。中軸に座る選手に出すような策ではないと首脳陣の采配に不満をにじませた。
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掛布氏のコメントを受け、ネット上には「結果的に得点には繋がったけど、主軸の大山にバント?とは確かに思った」、「大山はお膳立てされるポイントゲッターであって、お膳立てする繋ぎ役の選手じゃないしな」、「大山がどう思ったのかは分からないけど、プライドが傷ついた可能性もあり得なくはないな」と同調の声が寄せられた。
一方、「試合展開考えたら別におかしくないだろ」、「不穏な流れを食い止めるための最善策だと思ったんだけど」、「無策なら大山併殺でチャンス逃して多分試合にも負けてたのでは」と試合展開を念頭に置き、指摘するコメントも多かった。
「阪神打線はこの日6回裏までに計13安打を放つも、併殺(2回裏、5回裏)、盗塁失敗(3回裏)、レフトゴロ(6回裏)と拙攻続きで得点はわずか3得点。相手を攻めあぐねている中、7回表に逆に1点を返され7回裏に入っていました。このままの流れで試合をひっくり返されないためにも、なんとか次の1点が欲しいという状況だったことから、大山へのバント指示で確実にチャンスを広げにいくという作戦は別に間違ってはいないと掛布氏に異議を唱えているファンも少なくありません。なお、大山が今季チームワースト2位の6併殺を喫していることを考えると、仮に打たせていた場合は併殺で2死三塁とチャンスを大きくしぼませていた可能性もゼロではなかったでしょう」(野球ライター)
試合後の報道では、矢野燿大監督が「なかなか点を取れない中、こういう野球をやっていく必要もある」と、次の1点をもぎ取りたかったからと説明したことが伝えられている大山へのバント指示。采配的中という結果にはなったが、その是非についてはファン・OBの間で意見が割れているようだ。
文 / 柴田雅人