定評のある華麗な守備はもちろんのこと、「守りだけじゃレギュラーは取れない」との考えのもと課題のバッティングでも開眼を感じさせる内容で、オープン戦打率.476と絶好調。ホークス・千賀滉大の150キロを超えるカットボールを広い福岡PayPayドームのライトスタンドにたたき込むなど、小柄ながらもパンチ力のあるスタイルにも磨きがかかり、3日のカープ戦では横浜スタジアムのポールに当てるホームランを放ちアピールに成功した。
また11日のイーグルス戦では初回、キッチリと送りバントを決め、2打席目はフォアボールを選ぶなど2番バッターとして渋い働きでチームに貢献。13日はレフトへライトへ広角に打ち分けマルチヒットをマークするなど、オフに掲げた「3割を目標に、出塁率を上げて犠打やフォアボールも増やして、自分の味を出せるようにしていきたい」との目標をここまでしっかりと体現している。
昨シーズンは当然のように開幕一軍に名を連ね、ショートやセカンドとしてスタメン出場していたが、4月23日の甲子園のゲームで守備中に大和と交錯して左肩を脱臼。長いリハビリ期間を経て6月19日に一軍に再登録されたが、7月9日にはバンテリンドームで京田陽太の盗塁をタッチしに行った際に裂傷を負うなど怪我に泣かされ、プロ入り以来じわじわと上がっていた打率も.234と不本意な数字に終わってしまった。しかし今年は「石井(琢朗)コーチと取り組んできたことが結果に表れている」と、1998年の優勝メンバーで長年不動のショートとしてベイスターズを引っ張った名コーチの好影響もあり、打撃開眼の兆しも見えてきた。
ショートのポジションには、勝負強い大和、コンディションの上がってきた倉本寿彦、伸び盛りの若手・知野直人とバラエティに富んだライバルがひしめき合う状況だが、使い勝手のいい存在から不動のレギュラーへ向け、7年目の柴田竜拓もまた開幕スタメンの座を狙っていく。
取材・文・写真 / 萩原孝弘