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培養した「小型脳」が見せた驚くべき学習能力 AIよりも速い学習速度

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 今年の夏、海外で研究中の培養脳組織が、光を敏感に感じ取り機能する初歩的な「目」の構造を形成したと報告され注目を集めた。

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 サイエンス・アラート誌によると、培養皿内の脳オルガノイド上に2つの黒い物体が発生。そこには視神経が集中しており、ヒトの胎児における眼球構造の発達を反映していることが確認できたという。

 オルガノイドとは試験管内など生体外でつくられた幹細胞からなる小型、単純化された臓器を指し、「脳オルガノイド」は我々の体内に存在する完全な脳ではなく、採取した幹細胞から成長した小さな構造体だ。

 この幹細胞は、様々な種類の組織に成長する可能性があり、今回は脳組織の塊に成長。しかし思考や感情、意識を再現することはできないという。このような「小型の脳」は実際に生きている脳を使って実験するのが倫理的に難しいときに、研究目的で使用されている。

 そして先日、オーストラリアのCortical Labs研究チームがヒトiPS細胞から作成された細胞の塊を、微小電極アレイの上で脳細胞として培養し、脳と機械が相互に作用する「DishBrain」と呼ばれるシステムを開発。その後、「DishBrainシステム」に単純なテニスゲームであるPONGをプレイさせたところ、5分程度でゲームのルールを理解し、ニューロンでビデオゲーム内のボールの位置に応じてパドルを前後に動かすことに成功したという。

 従来の人工知能(AI)がゲームに慣れるまではおよそ15分間のゲームを5000回、時間にして90分かかったそうなので、従来のものより速いスピードで学習したことになる。

 この研究を率いるCortical Labs社の最高科学責任者Brett Kagan氏は、『New Scientist』誌に次のように語っている。

 「我々は、これをサイボーグ脳と呼ぶのが正しいと思います。私たちはよく、彼ら(DishBrainシステム)を映画『マトリックス』で描かれた世界の中で生きていると言っています。ゲームの中にいるとき、彼らは自分がパドルであると信じています。そしてPONGをしている間、神経細胞全体の活動はパドルを左か右に動かすことを決定しています。このニューロンの働きのおかげでビデオゲームにも反応しますし、電極は脳細胞がパドルの操作方法を学習することを手伝います」

 『bioRxiv』に掲載された研究論文によると「我々はこのDishBrainシステムを使って、試験管内の皮質ニューロンの単一層が、シミュレーションされたゲーム世界で具現化されたときに、自己組織化して、知的で感覚的な行動を示すことを実証しました。細胞活動の実質的なフィルタリングがなくても、目標指向のタスクに適応する神経細胞培養の挙動において、時間経過やコントロールに対する統計的に強固な差異が観察され得ることが示されました」とのことだ。

山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中

関連動画
Human brain cells in a dish learn to play Pong(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=9ksLuRoEq6A

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Blob of human brain grows functioning eyes in lab dish sparking 'horror'(dailystar)より
https://www.dailystar.co.uk/news/weird-news/blob-human-brain-grows-functioning-24785482

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