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世界初の「パックマン」型生体ロボット 癌やプラスチック汚染の解決の鍵となるか

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 先日、世界初の繁殖が可能な生体ロボットが開発されたというニュースが報じられて話題になった。

 ​>>AIは犯罪や法科学の現場でどう役に立つか?最新の研究結果より<<​​​

 この生体ロボットは「ゼノボット」と名付けられたもので、昨年アフリカツメガエル(学名ゼノパス・ラエビス)の胚から採取された幹細胞を、スーパーコンピューターと人工知能(AI)によって最適化された様々な組成と組み合わせ、プログラム可能な生体ロボットを作り出すことに成功した。

 幅は1ミリ以下で遺伝子操作は行っておらず、心臓細胞がこの小さな生体ロボットのモーターとして働いている。当初は球形で約3000の細胞から作られており、歩く、泳ぐ、群れで協力するなど、さまざまな機能を果たすだけでなく、「キネティック・レプリケーション(運動学的複製)」と呼ばれる複製プロセスを行う。

 なお、ゼノボットがより効果的に複製できるよう数種類の形状を試した結果、まるで「パックマン」を思わせる形状になったそう。この形状になったゼノボットはペトリ皿の中で小さな幹細胞を発見し、パックマンの口に該当する部分の内側で数百個に及ぶ幹細胞を集め、数日後にはこの細胞の集まりが新たなゼノボットとなった。運動学的複製は、これまで科学者が分子レベルでしか観察したことがなかったという。親にあたるゼノボットはそれぞれ最大5世代の子孫を作ることができるが、これまでのところ親同様にV字型の「口」を持つ子孫は作られていないそうだ。

 今回、ゼノボットを開発したのはバーモント大学やタフツ大学、ハーバード大学ビース研究所の研究チーム。この研究の責任著者であるタフツ大学のマイケル・レビン教授は、研究チームが「生物の行動や形態形成を研究できるように、自己組織化した新しい生物のシステムを作った」と述べている。また、本研究の筆頭著者であるサム・クリーグマン氏は「今後の研究では、親が相補的な形状の子孫を作ることができるように、これらの細胞の接着特性を変える方法を調査する予定です」と語る。

 現在、水中でのゼノボットの寿命は生分解されるまでのわずか数週間だが、科学者たちはゼノボットが革新的な利用法への道を開くことができると期待している。

 共同研究者であるバーモント大学のジョシュア・ボンガード教授は、次のように語る。
 「外傷、先天性欠損症、がん、老化などの問題を解決する再生医療を実現するためには、細胞の集合体に『自分がしたいことをさせる方法』が必要になります。しかし、どのような細胞群が構築されるのかを予測し、制御する方法を知らないため、現状では困難です。生体ロボットのゼノボットは、水の中の環境を多様な方法でナビゲートし、ダメージを受けても回復し、創発的な集団行動を示すことができることを示しています」

 研究チームによれば、ゼノボットは今後は臓器組織のような「大規模な解剖学的構造」にスケールアップされる予定とのこと。がんなどの治療や、河川や海のプラスチック汚染に対応できる可能性が検討されているそうだ。

山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中

参考記事
世界初の生体ロボット、「生殖」が可能に 米研究チーム(CNN)より
https://www.cnn.co.jp/fringe/35180169.html
'Pac-Man' robots made from frog cells could solve cancer and plastic pollution(dailystar)より
https://www.dailystar.co.uk/news/weird-news/pac-man-robots-made-frog-25576224
Living ‘Pac-Man’ robots can reproduce in ‘astounding’ scientific breakthrough(dailystar)より
https://www.dailystar.co.uk/news/weird-news/living-pac-man-robots-can-25633026

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