>>ワクチン未接種者のみロックダウンも? 感染拡大のヨーロッパで厳しい措置 企業が従業員に接種を強いる国も<<
日本はこれまで日本人の配偶者(日本人の妻または夫などを持つ外国籍の家族)に対しては入国を許可してきたが、12月2日に発表された水際対策で、日本の長期ビザを所有していない日本人の配偶者の入国は認められないことが決定された。これは要するに、国際結婚をして海外に住んでいる日本人の外国籍の家族が、日本に一緒に帰国できないことを意味し、年末年始に家族で帰国を予定していた人たちが日本で過ごせないこととなったのだ。
政府の決定は12月2日に通達されその日から変更になるという素早いものであったが、日本との時差もあり現地の夕方頃に空港にすでにいて、空港で日本国籍の妻と子どもは日本に帰ることができるが、外国籍の夫はその場で入国できないことが分かったケースもあったという。他にも、ドイツ人の夫を持つドイツ在住の日本人女性は、ウイルスの特性上仕方ないと理解を示しながらも「夫と子どもと一緒に帰国する予定だったからつらい。日本にもう3年近く帰れておらず、今回やっと自分の両親に会えることを待ち望んでいた」と話す。夫の入国が不可となった翌日が出発予定日だったが「突然の決定で自分の両親に帰ることができないと伝えたら泣いていた。孫の顔が見せられない。突然の変更で、ショックを受ける夫を置いて自分だけ帰国する気にもなれず、言葉にならない」と涙ながらに語った。
またフランス人の夫を持つフランス在住の日本人女性は、日本国籍を持つ自分と3歳の娘だけが帰国する選択肢もあったものの、家族が一定期間離れることに懸念があり、帰国自体を断念した。「周りにも自分と同じような人が多くいて、昨日、日本人の配偶者が入国できないという連絡が来た後は、みんなで連絡を取り合って話していたら泣けてきた。誰も責められないがつらすぎる」と言葉を絞り出していた。
一方で、日本の世論に疑問を持つ人もいる。ドイツ在住の日本人女性は「最初に水際対策を厳しくすることは大切だし、その中で海外からの入国者に対して批判が集中することは、理解できる」と前置きした上で、海外からの帰国者が何も考えずに帰国しているようなイメージを持たれていることが残念だと言う。「日本にコロナを持ち込んではならないと、帰国日の数週間前から不要不急の外出や人との接触を避けてきた。事情を話して子どもの保育園も休ませ、自分も完全在宅勤務に切り替えていた。自分だけではなく帰国予定の多くの日本人やその家族がそうしていて、多くの人は海外から帰るという責任感をきちんと持っていることは知ってほしい。自主隔離を無視しているのはほんのごくわずかな人だと思う」と訴えていた。
ただ、中には「コロナ禍で日本人もずっと自粛していたのだからこの決定は仕方ない」「日本は日本国民を守らなければならないし、素早い対応は素晴らしいと思う」「外国籍の夫が入国できないとしても、この状況で家族で帰りたいとはさすがに思わない」と配偶者ビザでの入国拒否に一定の理解を示す海外在住日本人もいるようだ。
なお、ヨーロッパでもオミクロン株への警戒は強まっており、ドイツやフランスでは南アフリカなどからの帰国者に対して隔離義務を設けるなどしている。しかしながら、世間はそこまで気にかけていないという。ドイツ在住の日本人は、「新しい株が入ってくることはある程度予想していて腹もくくっている感じです。コロナの恐怖より、飲食店の営業時間が短くなるなどの規制を気にしている人の方が多いです。新規感染者がすでに多いこともオミクロン株の出現にそこまで敏感になっていない理由だと思います。国境を接する国が多いので、日本とはまた意識が違うのでしょう」と推測していた。
昨日は空港で、外国人の夫のみが日本に行けないと知って子どもたちが号泣していた姿を見たという人もいる。簡単に国をまたぐことができないこの状況が一刻も早く改善されることを祈るばかりだ。