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感染者が増えている原因として、11月に入り、急激に寒くなったことやレストランが通常通りオープンして人との交流が活発になったことなどが考えられる、という現地の専門家もいるが、最も大きい理由として多くの専門家や各国の政府が挙げているのが「ワクチンの未接種者」が多いことである。感染が拡大しているドイツではワクチンの2回目の接種を終えた人が9月頃から70パーセント弱で頭打ちとなっていて、オーストリアは約65パーセント、チェコ共和国は約60パーセント、ハンガリーも約60パーセントからほぼ増えなかった。
そんな状況を受け、各国は感染拡大防止のための新たな措置を次々と講じている。ただ、その対策のほとんどはワクチンの未接種者に対するものだ。
ドイツは飲食店やジムなどに入店する際のほか、電車などの公共交通機関を利用する場合も、ワクチンの2回接種が完了した者とコロナから回復した者に限られ、ワクチンパスポートの提示やコロナから回復した書類の提示が求められる。ワクチンの未接種者は薬局などで検査をしてコロナの陰性証明書の提示が必要になっている。
州によっては陰性証明書があっても未接種だと飲食店などの利用はできず、ワクチンの2回接種が完了した者とコロナから回復した者だけという州もある。オーストリアではさらに強い対策がなされ、15日からワクチン未接種者にのみ事実上のロックダウンが課された(22日からは全国民が対象となった)。未接種者の外出が許可されるのは通勤や生活必需品の買い物をする時、健康のための散歩に限られ、都市部では警察が巡回してワクチンパスポートの提示を求めて、未接種者が不要な外出をしていないか常に確認するという徹底ぶりだ。
チェコ共和国でも22日からオーストリアと同様の対策が取られる見込みで、ワクチンの未接種者の外出は生活必需品の買い物や散歩のみに限られる。ハンガリーでは11月から企業に従業員のワクチン接種を義務付ける権限を与えた。企業が従業員の安全上ワクチン接種が必要と見なした場合は、企業が従業員にワクチン接種を強制できるのだ。病院などで用いられていることが多い。
こういった各国の未接種者に対する対策を受け、該当国では「差別だ」「人権無視である」という声が多く聞こえる。批判の声を上げるのは未接種者がほとんどだが、「やりすぎている」「ワクチン接種は選択の自由であるべき」などワクチン接種者からの声も少なくはない。実際、このように未接種者に対する対策に不満があることもあってか、不便を強いられてもなお接種をしない人も多いようだ。ドイツやオーストリアではここ数日、ワクチン接種会場では列ができ、ワクチンの接種率も日々数ポイント上がっているようだが、チェコ共和国とハンガリーでは相変わらず接種率は上がらず、低いままである。
一方で、ヨーロッパ在住の日本人たちはワクチンの接種率が低いことは問題であると認めながらも、マスクの着用や密を避けることへの意識の低さも問題であると口々に話す。ヨーロッパのほとんどの国では電車などの公共の場ではマスクの着用義務があるものの、義務となっている以外の場所では基本的に人々がマスクをつけることはない。ドイツ在住日本人は「電車でもマスクを口元まで下げて鼻だけではなく口もほぼ出している人もいますし、日本に比べ、一人ひとりのマスクに対する意識が低いと思います。ヨーロッパでは政府はとにかくワクチン接種率を上げることが感染拡大につながると考えているようですが、マスクの着用など基本的な部分ももっと考えられるべきだと思います」と指摘している。
ヨーロッパでは再び新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化しているようだ。ワクチン未接種者に対する対策が功を奏すればいいのだが…。