イギリス・マンチェスターに住む、「コロナ」という名前の49歳の女性が、新型コロナウイルスの流行によって、名前のせいで嫌がらせを受けていると海外ニュースサイト『New York Post』と『Mirror』が11月10日までに報じた。
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報道によると、女性の名前は、病院で女性を取り上げた助産師の名前をとる形で、「コロナ」と名付けられたという。女性は今年、新型コロナウイルス流行がきっかけで、いくつかの嫌がらせを受けたそうだ。女性には5人の子どもがいるが、娘の一人を歯科に連れて行き、受付で娘の親である女性の名前が告げられた際、たまたま女性の名前を聞いていた別の患者が、女性に向かって「世界を苦しめるのはどんな感じ?」と言ってきたそうだ。別の患者がどのような態度で発言したかは明かされていないが、女性は「笑えなかった」と当時の状況を説明している。
また、レストランでテーブルを予約しようと名前を告げると、冗談だと思われたり、名前が原因で予約ができないことがあるという。ほかにも、家には女性を攻撃することを示唆するようないくつかの脅迫めいた電話がかかってきているそうだ。『Mirror』によると、女性は嫌がらせに対し、「本当にフラストレーションがたまっている」と話しているという。
このニュースが世界に広がると、ネット上では「女性は何も悪くないのにかわいそう。こういった風評被害をなくしたい」「悪いのは嫌がらせをする人だけどレストランの予約は偽名を使えばいいのでは?」「偽名を使うこともできるけどそれをしないのはプライドがあるから。それでいいと思う」などの声が挙がっていた。
新型コロナウイルスを連想させる名前で苦痛を味わった人は、海外だけではなく日本にもいる。
青森県に住む、「光冠(ころな)」という名前の8歳の少年が、新型コロナウイルスの流行により、自身の名前に対して悩みを抱えていたと『東京新聞TOKYO Web』(東京新聞)が、2020年9月27日に報じた。同記事によると、少年の父方の祖母がメキシコ人で、日本でもメキシコでも呼びやすい名前であることから、少年は「光冠(ころな)」と名付けられたという。しかし新型コロナウイルスが流行し、感染者の死亡がテレビで報じられるたびに少年は怒りを感じ、学校で新型コロナウイルス関連の配布物が分けられる際もつらい思いをしたそうだ。
少年の母親の知人がFacebookに少年の苦悩についてつづったところ、長野県警のOBである62歳の男性がその投稿を見て、少年を励ますために歌った歌を、CDに録音して贈った。歌は、県警OBの男性のほか、絵本専門士の女性など5人が合唱して録音したという。
少年はCDを受け取り、うれしさのあまり涙したという。同記事によると、少年は「今は自分の名前が好き」と話しているそうだ。
偶然であるにもかかわらず、「コロナ」という名前で嫌な思いをしている人は世界にいるようだ。ハリウッド俳優のトム・ハンクスは、「コロナ」という名前のせいでいじめられたというオーストラリアの8歳の少年に励ましの手紙を送り、その対応が賞賛されていた。世界各地で名前によって風評被害を受ける人たちを救う動きが出てきている。
記事内の引用について
「Woman named ‘Corona’ says she gets threats, abuse」(New York Post)より
https://nypost.com/2020/11/09/woman-named-corona-says-she-gets-threats-abuse/
「'I get abused for my name - and restaurants always laugh when I try to book table'」(Mirror)より
https://www.mirror.co.uk/news/uk-news/ive-always-been-abused-name-22985141?_ga=2.235344579.373060741.1606199333-1739399990.1599115318
「「ころな君」負けないで 名前に悩む8歳に警察OBらが応援歌」(東京新聞TOKYO Web)より
https://www.tokyo-np.co.jp/article/58027