ヨーロッパ
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社会 2023年07月24日 07時00分
海外旅行先から帰国できない可能性も? ヨーロッパの空港で起こっている大トラブル
今年はお盆に旅行を計画している人も多いのでは。コロナ禍で旅行が難しい時期が続いたが、待ちに待った機会。ヨーロッパなど遠出をする人も少なくない。しかし現在、ヨーロッパではフライトに関して大きな問題が起こっているというのだ。 コロナ禍によってヨーロッパの航空会社は経営難となり、多くの人員を削減した。中でも顕著だったのはドイツの大手航空会社・ルフトハンザ航空だ。2020年7月の時点で従業員2万2千人を解雇したが、1年以上前から人員を募集しているものの十分でなく、グランドスタッフやキャビンアテンダント、パイロットなどの数がコロナ前に戻っていない。なお、フランスのエールフランス航空は約1580人、オランダのKLMオランダ航空は約1700人とルフトハンザ航空に比べると解雇した人数は少なく、現在までにルフトハンザ航空ほどの影響はないといえる。 ルフトハンザ航空において最も大きなトラブルはグランドスタッフの不足により、チェックインカウンターで長蛇の列ができることだ。ドイツのハブ空港、フランクフルト空港やミュンヘン空港では人数が元々少ないことに加え、新たな人員を雇っており新人は教育を受けながら仕事を覚えるため時間がかかる。普段なら1時間以内でチェックインができるところ、現在は繁忙期でなくとも倍の2時間かかることも珍しくはないという。ビジネスクラスも同様で、1時間は待つ覚悟が必要とも言われる。 なお、オンラインチェックインをしておけばカウンターに並ぶ必要はないが、荷物を預け入れる場合はチェックインカウンターに並ばなければならず同様に時間がかかる。自分でラベルを貼り、自動で荷物を預けられるカウンターであれば待ち時間が少ないものの、「いつもは誰も並んでいないのにここ数カ月は列ができて30分以上待ったこともある」と言う人もいるほどだ。 >>「外国人お断り」騒動にみる日本の差別意識、顔の小ささやはしの使い方を褒めるのも差別?<< さらにコロナ禍によって空港スタッフも解雇されており、フランクフルト空港やミュンヘン空港ではセキュリティスタッフも不足しているようだ。繁忙期でない現在でも2、3時間待つことが珍しくなく夏に向けてさらなる混雑が予想される。人手が足らないのか長蛇の列ができていても、すべてのゲートが開いていない。 またロストバゲージにも注意が必要だ。日本からヨーロッパ旅行に行く際によく乗り換え空港として利用されるフランクフルト空港では今年に入ってからロストバゲージが多発している。ヨーロッパ在住の日本人は「日本からフランクフルト空港で乗り換えをするフライトで、自分の周りでは10家族中5家族以上がロストバゲージに遭っている」と言う。ロストバゲージの原因は荷物の運搬に人が足らないこと。荷物が届かないまま次の便が出発してしまうこともあり、そのまま荷物の行方が分からなくなるのだ。 日本ならば空港スタッフができるだけ荷物を届けようと努力してくれたり、探してくれるが「ドイツではそんなことはほぼない」そう。運が良ければ数週間たって見つかるということもあるが、「航空会社の専用番号に電話もつながらないし、探すといって探していないことがほとんど。一度、荷物番号を控えてもらっていたのに数日後にもう一度連絡をしたらそのような電話は受けていないと言われた。ロストバゲージしたら見つかる可能性はゼロと思った方がいい」と言う。 そして最も厄介なのはストライキだ。人員が少ないため一人当たりの労働負担が上がっていることもあってルフトハンザ航空や空港スタッフ、空港のセキュリティスタッフや空港を警備会社が昨年後半から頻繁にストライキを行っている。月に1回はドイツ国内のどこかの空港でフライトに影響するストライキが起きているイメージだ。 ここで問題となるのはその時の客としての対応だ。航空会社がストライキをした場合は後日のフライトを振り替えてくれる。だが、例えば空港のセキュリティスタッフがストライキをする場合、セキュリティゲートは開いていないが、航空会社はチェックインできるという状況になっている。 そのため、空港のセキュリティスタッフがストライキをする前、例えばフライトの12時間以上前などにチェックインしなければならない。航空会社は動いているため、たとえセキュリティスタッフがストライキをしていてもチェックインできないのは自己責任となる。前日にチケットを変更してもらうなどの工夫が必要になるだろう。警備会社がストライキをする場合も同様で、ストライキが始まって空港が閉まってしまう前に空港に入るなど工夫が必要だ。 ここまでの大変さがあると利用する側としては呆れて怒りを感じてしまうが、働いている側も苦労しているようである。 海外ニュースサイト『Business Insider』は2022年7月の記事で、ルフトハンザ航空で働く客室乗務員のインタビューを伝えた。これによると「体調が悪い人がいた時のために自宅で待機をすることがあるのだが、これまでは単なる予防措置で電話がかかってこなかったのに、コロナ明けは誰かの体調不良ではなく単なる人員不足で100パーセントの確率で電話がかかってくるとのことだ。 また1泊のスケジュールが2泊に急きょ変更になることもあり「プライベートは存在しなくなった」「これほど大きな航空会社がこのような失敗をするのは間違っている」と指摘していた。また過去にルフトハンザで働いていたことがあっても、一定の訓練を毎年受け直す必要があり、人を雇ったところですぐに現場に出せるわけではないという。 久々の海外に胸を高鳴らせている人も多いだろう。すでにほとんどの人がマスクをしていないヨーロッパだが、コロナ禍の影響は見えないところにまだまだ大きく残っている。海外旅行に行くのなら、ある程度の注意が必要といえるだろう。記事内の引用について「I'm a flight attendant for Lufthansa. Cuts have led to total chaos — and my private life is nonexistent.」(Business Insider)よりhttps://www.businessinsider.com/work-flight-attendant-lufthansa-collapse-travel-chaos-cancellation-delay-airport-2022-6
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社会 2022年08月01日 06時00分
日本がコロナ感染最多を記録する一方で、日常が戻る欧州「もうコロナ禍は終わった」の声も
まだまだ猛威を振るっている新型コロナウイルス。27日には、WHO(世界保健機関)が日本の24日までの1週間当たり新規感染者数が約97万人で、世界最多だったと発表し日本人を驚かせた。猛暑日が続く中、マスクを外すかという議論が続いているが感染者数の推移を考えるとなかなか一筋縄ではいかないだろう。コロナ禍前の生活に戻るにはまだまだ時間がかかりそうだ。 一方、世界ではどうなのだろう。ヨーロッパの中でもコロナ規制廃止に慎重と言われていたドイツではすっかりコロナは忘れ去られた存在のようだ。ここ1週間、1日当たりの新規感染者数は9万人から14万人ほど。しかしピーク時は新規感染者数が60万人近くおり、15万人前後を何度も経験していることから、現地の人によると「特に驚きはない」という。ドイツは現在も新規感染者のカウントをしてはいるものの、土日は更新されず月曜が増える傾向にあり正確とは言い難い。検査数は10週間で25万回前後。こちらはコロナ流行時に検査をし始めた時期からあまり数は変わらない。現在も至る所に検査所があり、条件によっては無料で検査ができるため症状が出れば検査をするという人が多いのだろう。 >>ヨーロッパの海外旅行、人気は日本からタイに 「日本への興味は薄れた」の声、理由は<< 日常生活もすっかりコロナ禍前に戻っている。スーパーマーケットや飲食店では距離を空けるよう、床に1.5メートルごとにステッカーのようなものが貼られていた。だが今も貼られているものの守っている人はほぼいない。レストランはコロナ禍前のように机が密集した状態で並べられ、混雑時は人でごった返す。電車やバスなどの公共交通機関ではマスクの着用が必要だがそれ以外は不要で、街を歩いてもマスクをしている人を見かける方が珍しい。 先月までは対策のためかマスクをしてスーパーマーケットに入るお年寄りは多かったが、今はそんな光景もあまり見られない。着用義務がある公共交通機関でさえも、数カ月前まではマスクをしていなければ注意をされることが日常茶飯事だったが、今はマスクをしていなくても気にする人は少ない。 現地のドイツ人は「まだ感染者はいるものの、もうコロナ禍は終わったと思っている人の方が圧倒的に多いだろう」と話す。コロナを気にして日常生活を制限する暮らしはすっかり終わり「コロナを考えずやりたいことをやっている」と話している。さらに「今年に入ってから感染者数の数字も追っていない」と明かしていた。 実際、ニュースでもコロナ禍のニュースは明らかに減った。ゼロではないものの、興味が薄れているからかトップニュースで報じるほどではなく、毎日感染者数がニュースで流れるということもない。病床使用率が高くなっている、病院がひっ迫しているというニュースは少しはあるものの深刻な様子ではなく、前出のドイツ人は「今はバカンスの時期だから従業員が足りないのもあるのだと思う」と気にする様子はなかった。むしろ、隣国のオーストリアが感染後の隔離措置を8月から解除することが報じられ、ドイツでは隔離解除に慎重になるべきというニュースに批判の声があるほどだという。 また病院での対応も戻りつつある。コロナ禍前までは熱や喉の痛みがあった場合、病院で診てもらえない、もしくは陰性を証明してから診察を受け入れてもらえることがほとんどだった。しかし現地の日本人によると「今は空きさえあれば診てもらえる」そうだ。ただ、基本的には検査で陽性となり明らかにコロナに感染している場合は、特定の機関に連絡をし、症状が重い場合は検査機関の指示を仰ぐこととなる。州によっても異なるが基本的には特定病院ではなく最寄りの総合病院が対応する。 一方で、遅れてきたコロナ禍の弊害もあるようだ。ルフトハンザドイツ航空は、コロナ禍で従業員の約16パーセントを強制解雇したことで、現在働き手が足りていないという問題に直面している。ドイツではバカンスシーズンが始まるがルフトハンザ側が旅行の需要に対応する準備ができておらず、従業員不足による欠航が相次いでいるのだ。CA不足により機内で飲み物が提供されなかったり、荷物運搬の担当者が足りないため預けたスーツケースが届かないということも多々発生する。そんな中、従業員は賃金アップと限られた人数で仕事に対応しなければならないことへの不満を訴えるためストライキを実施し、さらなる混乱を生んでいる。 コロナにかからないようにすることは、もちろん大切なことだろう。しかしながら海外の生活を知ると、日常を取り戻していくことも大切なように感じられるだろう。
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社会 2022年07月04日 06時00分
ヨーロッパの海外旅行、人気は日本からタイに 「日本への興味は薄れた」の声、理由は
新型コロナウイルスの感染拡大によって世界各国で観光客の受け入れを停止していたが、今年に入り、多くの国がコロナ禍前の規制の水準に戻しているようだ。 日本も外国人観光客の受け入れを開始したが、人数を制限してツアー客に限定するなどハードルは世界の中でも高め。ワクチン接種の有無にかかわらず、出国72時間以内にはPCR検査の実施も必要になる。検査のフォーマットは日本が認めているものしか基本的に許可されていないため、日本式フォーマットを発行してくれる検査場所を探す必要があり、郊外に住む場合は日本式フォーマットを発行する遠くの検査場所まで行かなければならない。また観光客は必要な情報を事前登録する必要があり、自身が住む国の領事館とやりとりしなければならないのだ。こういった事情もあり、日本に旅行に行くことが現実的でない今、ヨーロッパでは日本への興味が薄れつつあるようだ。 >>マスク着用撤廃で、必要なくなったと耳を切り落とす 男性は全身の改造60回以上<< コロナ禍前、ヨーロッパでは日本への旅行が人気で、ドイツ在住の日本人は「日本の文化を気に入っている人は多く、毎年行くという人も珍しくはなかった」という。しかし現在、日本に行くにはハードルが高く気軽には行けない。ドイツ在住のドイツ人は、今は燃料代が上がって日本行きのチケットが高いこともあるが、それを差し引いても「日本への関心は薄れてきている」という。「いつか行けるかもしれないと思う時期は過ぎて、もう数年は日本への観光は無理だと思ったら興味がなくなった」と話す。 そんな中、新たに人気を博している国がタイだ。 タイは6月末まではワクチン接種に加え、「タイランドパス」と呼ばれる事前入国申請と保険の加入が必要だったが、7月からは両方が撤廃される。しかしながら、元から保険に入って旅行に行くという人も多く、元々大きな手間をとるものではなかった。さらにタイではマスクの着用義務が屋内外含めて解除されている。現在、ヨーロッパの多くの国で、公共交通機関など一部の場所を除いてマスク着用義務が解除されているため、ヨーロッパではすでに着用する習慣が薄れてきている。息苦しいため嫌う人も多く、義務が解除された影響は大きそうだ。 実際にヨーロッパからタイに旅行に行くという人は多いようだが、現地では観光客が嫌がられることはなくウェルカムの雰囲気だという。EU圏のニュースを発信する海外サイト『SchengenVisaInfo』は、タイ国民のおよそ69パーセントが今年の6〜9月にヨーロッパ諸国へ旅行する計画があるとヨーロッパの保険会社の調査結果を伝えている。自分たちも旅行への計画を立てており、一時の「観光客がウイルスを運んでくるかもしれない」という抵抗や不安はほとんどないのかもしれない。マスクについては着用義務が屋内含め全ての場所で解除されているものの、「観光客という立場もあってか、任意で着用している観光客も多かった」(6月末にタイ旅行に行ったフランス人)そうだ。 そんな中、日本への興味を失った人たちによる奇妙な現象も起きている。彼らはタイで吉野家やサイゼリヤなど日本のチェーン店の食事を楽しんでいるというのだ。タイに旅行したドイツ在住ドイツ人は「日本に行かなくても日本の食事がタイで食べられる。価格も日本とほぼ同じだし、これからもタイで日本を味わえばいいと思った」「多くのお客さんが欧米人だった」と言う。日本は現在円安で、観光客は来やすい環境であるが、「チェーン店の味がアジアの他の国で味わえることもそうだが、日本でしかできないことがアジアの他の国でもできるようになっている。円安だとしても他のアジアの国の方が全体的に安いからいい」と説明した。 一方タイで、「コロナ陽性者が増えたため通訳がいる病院が満床。旅行に来るにはある程度、覚悟した方がいい」とガイドなどから言われたという人も複数いる。なお観光地でも英語が通じないことも多く「病院に行く際のタクシーや薬局などでも苦労するかも」と心配する声もあるようだ。 まだまだどの国に行くにしても、多少のリスクを覚悟すべきなのかもしれない。しかしこのまま日本が観光客受け入れのハードルを下げなければ海外での日本に対する関心はどんどん薄れていくばかりだろう。記事内の引用について「69% Of Thai Plan to Travel to Europe From June to September This Year, Survey Reveals」(SchengenVisaInfo)よりhttps://www.schengenvisainfo.com/news/69-of-thai-plan-to-travel-to-europe-from-june-to-september-this-year-survey-reveals/
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社会 2021年12月20日 06時00分
Withコロナが進む欧州、オミクロンに関心はない?「インフルエンザのような感覚」という声も
新型コロナの変異株「オミクロン株」が見つかって以降、日本はより警戒を強めているが、ヨーロッパ各国の人々の反応は日本と異なるようだ。日本と同じようにヨーロッパのほとんどの国でオミクロン株に関する情報が報道されているが、ヨーロッパの多くの国の人々はそこまで警戒していない。スペイン在住のスペイン人男性は、株が変異することは前から分かっていたため「はやる時ははやる」という心構えでいるそうだ。ドイツ在住のドイツ人男性も「もう収束は時間しか解決できない」と明かし、必要以上に警戒すれば心が疲れ、楽しく人生を送ることができないと前向きに捉える。 >>日本人に人気のレストランも軒並み閉店 観光客が戻ってきたハワイ、街の様子に変化<< そのため、日常の経済活動はすでにコロナ禍前に戻ったと言っても過言ではない。イギリスでは一旦、解除をしたマスクの義務づけを再び強化し、ドイツやフランスなど多くの国ではレストランや映画館などを利用する際、ワクチンパスと呼ばれるワクチン接種証明書やコロナの陰性証明書が必要になるという規制はあるものの、レストランは人でにぎわい、ワクチン接種が必要などのルールを取り入れながら小中規模のイベントは開催されている。 日用品の買い物も、コロナ禍当初は週に1、2回まとめ買いをして人との接触を極力避ける人がほとんどだったが、今はほとんどの人がコロナ禍前のように買い物をしているようだ。ドイツに住むイギリス人は「自分が住んでいるドイツでも母国のイギリスでも、コロナに振り回されて買い物を控えようと考える人はほぼいないと思う。コロナ禍前のように毎日買い物に行く人もいる」と話す。また人と会う際は、集まることができる人数のルールなどに従う必要があるものの「人と会うことに抵抗はなくコロナ禍前のように普通に人と会っている。コロナ禍当初は友人同士でも気を遣って誘うこと自体、互いにしていなかったが、今はそれもなく外食も友人らと普通にする」と明かしていた。 旅行への警戒心もあまりなく、今年の夏頃にバカンスを再開する人が出始めて以降、もう大丈夫だと安心したのか、コロナ禍前のように休暇の計画を立てる人が増え始めた。ドイツに住むドイツ人の女性は「もうコロナはインフルエンザの感覚でいる人が多い」と明かし、人々の外出の頻度はコロナ禍前とほぼ変わらないのではないかと話していた。 とはいえ、感染症対策ができていないわけではない。 ヨーロッパではコロナ禍前まで、マスクは医療従事者がつけるものという感覚で、人生でマスクをつけたことがないという人も珍しくなかった。だが今は何の違和感もなく、マスクが義務化されている室内や電車、バスなどではマスクをしている。さらに家庭でコロナの簡易検査キットを備えることは常識になっていて、少しでも体調が悪ければすぐに調べるような流れが通常になりつつあるのだ。例えばドイツでは州によって異なるが、幼稚園や保育園でも週に2回ほどの間隔でコロナテストを必須にしているところが多く、幼い園児も自宅で簡易検査をしてから幼稚園や保育園に通う。ただ、オミクロン株が出現してから特に警戒を強めたという様子はなく、これまで通りの対策を続けているようだ。 在独日本人は家庭用簡易検査で対策を施し「人にうつさないという意識は高い」と話す。一方で、「コロナ対策は検査キットに頼っている面が大きい」と明かし、「陰性なら問題ないと、少しのかぜでも人が多くいる場所に出向く人は一定数いる。コロナでなくても結果的に人々の免疫力を下げることにつながりそう」と心配する。 いくつかの制約はあるものの、ヨーロッパではすでにコロナ禍前のような生活が戻りつつあるようだ。
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社会 2021年12月06日 06時00分
空港で涙を流す家族も オミクロン水際対策、海外では一晩でパニックに 影響を受けた人の声
新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染が各国に広がっていることを受け、日本政府は11月29日に外国人の入国禁止を発表。その後、南アフリカなどのアフリカ大陸に加え、オミクロン株の感染者が確認されたイタリアや英国、ドイツなどヨーロッパからの入国者への規制も強化され始めた。こういった水際対策に対しては迅速だったと多くの日本人が評価をしているが、その一方で突然の入国不可に戸惑いを隠せない人たちもいる。 >>ワクチン未接種者のみロックダウンも? 感染拡大のヨーロッパで厳しい措置 企業が従業員に接種を強いる国も<< 日本はこれまで日本人の配偶者(日本人の妻または夫などを持つ外国籍の家族)に対しては入国を許可してきたが、12月2日に発表された水際対策で、日本の長期ビザを所有していない日本人の配偶者の入国は認められないことが決定された。これは要するに、国際結婚をして海外に住んでいる日本人の外国籍の家族が、日本に一緒に帰国できないことを意味し、年末年始に家族で帰国を予定していた人たちが日本で過ごせないこととなったのだ。 政府の決定は12月2日に通達されその日から変更になるという素早いものであったが、日本との時差もあり現地の夕方頃に空港にすでにいて、空港で日本国籍の妻と子どもは日本に帰ることができるが、外国籍の夫はその場で入国できないことが分かったケースもあったという。他にも、ドイツ人の夫を持つドイツ在住の日本人女性は、ウイルスの特性上仕方ないと理解を示しながらも「夫と子どもと一緒に帰国する予定だったからつらい。日本にもう3年近く帰れておらず、今回やっと自分の両親に会えることを待ち望んでいた」と話す。夫の入国が不可となった翌日が出発予定日だったが「突然の決定で自分の両親に帰ることができないと伝えたら泣いていた。孫の顔が見せられない。突然の変更で、ショックを受ける夫を置いて自分だけ帰国する気にもなれず、言葉にならない」と涙ながらに語った。 またフランス人の夫を持つフランス在住の日本人女性は、日本国籍を持つ自分と3歳の娘だけが帰国する選択肢もあったものの、家族が一定期間離れることに懸念があり、帰国自体を断念した。「周りにも自分と同じような人が多くいて、昨日、日本人の配偶者が入国できないという連絡が来た後は、みんなで連絡を取り合って話していたら泣けてきた。誰も責められないがつらすぎる」と言葉を絞り出していた。 一方で、日本の世論に疑問を持つ人もいる。ドイツ在住の日本人女性は「最初に水際対策を厳しくすることは大切だし、その中で海外からの入国者に対して批判が集中することは、理解できる」と前置きした上で、海外からの帰国者が何も考えずに帰国しているようなイメージを持たれていることが残念だと言う。「日本にコロナを持ち込んではならないと、帰国日の数週間前から不要不急の外出や人との接触を避けてきた。事情を話して子どもの保育園も休ませ、自分も完全在宅勤務に切り替えていた。自分だけではなく帰国予定の多くの日本人やその家族がそうしていて、多くの人は海外から帰るという責任感をきちんと持っていることは知ってほしい。自主隔離を無視しているのはほんのごくわずかな人だと思う」と訴えていた。 ただ、中には「コロナ禍で日本人もずっと自粛していたのだからこの決定は仕方ない」「日本は日本国民を守らなければならないし、素早い対応は素晴らしいと思う」「外国籍の夫が入国できないとしても、この状況で家族で帰りたいとはさすがに思わない」と配偶者ビザでの入国拒否に一定の理解を示す海外在住日本人もいるようだ。 なお、ヨーロッパでもオミクロン株への警戒は強まっており、ドイツやフランスでは南アフリカなどからの帰国者に対して隔離義務を設けるなどしている。しかしながら、世間はそこまで気にかけていないという。ドイツ在住の日本人は、「新しい株が入ってくることはある程度予想していて腹もくくっている感じです。コロナの恐怖より、飲食店の営業時間が短くなるなどの規制を気にしている人の方が多いです。新規感染者がすでに多いこともオミクロン株の出現にそこまで敏感になっていない理由だと思います。国境を接する国が多いので、日本とはまた意識が違うのでしょう」と推測していた。 昨日は空港で、外国人の夫のみが日本に行けないと知って子どもたちが号泣していた姿を見たという人もいる。簡単に国をまたぐことができないこの状況が一刻も早く改善されることを祈るばかりだ。
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社会 2021年10月18日 06時00分
眞子さまと小室さんの結婚報道に「余計なお世話」ヨーロッパでも大きく報道、現地の反応は
秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さんの結婚が発表され、日本では批判も含め様々な声が世間から挙がっている。ヨーロッパでも同様に眞子さまと小室さんの結婚は報道され、注目を集めているが、世間が注目している部分は日本とは異なるようだ。 ヨーロッパでは今回の結婚に関して、フランスやドイツ、イタリアなどで特に多く報道されている。ドイツ国営の国際放送事業体が運営するニュースサイト「DW」は、「4年間待った後、ついに眞子さまは学生時代に恋した相手の小室さんと結婚する」という書き出しで、眞子さまと小室さんの結婚を報道。しかし日本人の多くがこの結婚を喜んでいないと伝え、小室さんが日本人の道徳的基準を満たしていないことなどを理由に、日本国民の約90パーセントはこの結婚を認めていないと続けていた。>>「日本政府は頼りなさすぎる」「日本人じゃなくてよかった」五輪開催に海外から皮肉 バッハ会長の母国ドイツでも笑い話に?<< さらに同記事では小室さんが、母親が金銭を支援してもらっていた男性としたやりとりを、自らが録音したことにも触れ、「録音悪魔」と呼ばれていると伝えた。そしてアメリカから帰国した小室さんが髪をポニーテールにしていたことが、さらに批判の嵐を引き起こしたとつづっている。眞子さまが多額の一時金を放棄したことにも触れているが、「それでも多くの日本人は結婚に納得していない」と報道。多くの日本人は世論も考えて結婚に臨むべきだと考えていると日本人の声を代弁していた。日本でもSNSを中心に結婚に対する批判が多いと書かれており、「眞子さまのご家族が皇室から追放される」というハッシュタグが出回ったことや「彼女はどうやって結婚会見をするのか疑問である」と日本のネットユーザーの声を伝えている。 「DW」と同様の内容がフランスやイタリアなどの他のヨーロッパの国でも報じられたが、日本人の反応が多く書かれていることもあってか、「他人が人の恋愛を心配するのは余計なお世話」(フランス在住の30代フランス人)「顔が見えないSNSでの批判はただ不満をぶつけたいだけ」(ドイツ在住の40代ドイツ人)と日本人の批判に対する反論も見受けられる。 なお同記事ではヘンリー王子とメーガン妃にも言及。眞子さまと小室さんの結婚をヘンリー王子とメーガン妃になぞらえて考える人がいると伝えた上で、ヘンリー王子とメーガン妃は英国王室の高位メンバーから退いたもののそれ以前はイギリスの税金から収入を得ていたため、眞子さまは一時金を受け取らず、小室さんは弁護士事務所で、眞子さまは美術関連の仕事をして経済的に独立すると伝えていた。 こういった日本人の批判に対し疑問の声が挙がる背景には、日本とは違うヨーロッパの気質もあるかもしれない。ヨーロッパの多くの国では、恋愛に対して自由という風潮があり、他人が人の恋愛に口出しすべきでないと考える人が多い。眞子さまと小室さんの結婚は、国の象徴となる皇族の結婚ということで一般的な恋愛とは異なるものの、同じように考え、「人の恋愛に他人が関わるべきではない」(ドイツ在住ドイツ人)と、はっきりしている。 また別の背景としては、ドイツやフランスなどでは結婚は個人がするもので相手の家族とは切り離して考えられていることも挙げられるだろう。結婚はあくまで個人間のことと思われており、相手の親の経歴や素性をそこまで気にしない人が多い。親も子どもの結婚に反対するケースは少なく、逆に子どもが相手の家族の経歴や素性を気にすることもないため、小室さんの母親のトラブルで小室さんと眞子さまを批判するのはおかしいという声が挙がるのだ。 しかしながら、皇族の仕組みやあり方、小室さんの母親の金銭トラブルに小室さんの学費が関わっていることを理解していない上で日本人が批判していることをやゆするヨーロッパの人は多いよう。ドイツ在住の日本人女性は「ヨーロッパの人は、“多くの人に反対されながらも貫いた2人の恋愛を、小室さんの母親が金銭トラブルを起こしたというだけで多数の日本人が反対している”というふうに単純に捉えて、批判しているように思います」と語っている。 ヨーロッパでは、日本人の批判が中心に報道されることもあるようだが、ただ恋愛に反対しているのではなく日本人にとってもっと根深い問題があると理解しているヨーロッパの人は多くはないのかもしれない。記事内の引用について「Japans Prinzessin Mako: Traumatisiert zum Standesamt」(DW)よりhttps://www.dw.com/de/japans-prinzessin-mako-traumatisiert-zum-standesamt/a-59389586
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社会 2021年07月24日 06時00分
五輪の無観客開催を決定した日本は笑い者?「神経質すぎ」ヨーロッパからの声、海外とは大きな温度差
ついに開催された東京オリンピックだが、多くの会場で無観客になることが決まった。東京オリンピックを巡っては、開催すること自体に反対する声が日本の世論からは出ていたため、そういった声を踏まえての無観客という決定だったのかもしれないが、この無観客という決定に対して、ヨーロッパでは嘲笑うような反応が出ているようだ。 東京オリンピックの無観客についてはヨーロッパ各国でも報じられ、人々の間でも話題になっていたが、とあるスペイン人は「コロナ禍で暗い中、日本全体が明るくなるチャンスだったのに、日本人はそのチャンスを政府に潰されて可哀想」と話し、とあるイギリス人は「海外はもう娯楽も受け入れた生活に進んでいる。日本はこのままコロナを恐れて何もしないつもりなのだろうか」と語っていた。 >>「日本政府は頼りなさすぎる」「日本人じゃなくてよかった」五輪開催に海外から皮肉 バッハ会長の母国ドイツでも笑い話に?<< ドイツ在住日本人は、ドイツに住むドイツ人と会話をした際、オリンピックの無観客が話題になることが多いと話し、「とある人には嘲笑いながら『日本は神経質すぎる』と言われ、別の人には『オリンピックを生で見られるチャンスを潰された子どもたちがいたとしたらそれも大きな犠牲』と言われた」と明かしていた。 ヨーロッパでは、無観客に関してはアスリートたちも声を上げている。東京オリンピックで4大会連続の金メダル獲得を有力視されているドイツの射撃手、クリスチャン・ライツ選手は、ドイツのニュースサイト『Bayerische Rundfunk』の中で、「観客がいることでモチベーションが上がるから無観客は少し寂しい」と意見を述べた。また、ボート選手として過去に5度オリンピックでメダルを獲得しているイギリスのキャサリン・グレインジャー氏は、イギリスのニュースサイト『The Guardian』の中で、「選手にとって空っぽのスタジアムで競技をすることは喪失感を覚えるだろう」と明かし、現役選手に同情した。 ヨーロッパからは無観客に対して“残念”という声が多く挙がるが、その理由の一つとして挙げられるのは、6月11日から7月11日まで開催されたサッカーの大会「UEFA EURO 2020」が全ての会場で有観客で行われたことが大きいだろう。収容人数の制限やPCR検査の陰性証明書の提示などの条件はあるものの、6万人以上を収容して行われた試合もあり、ヨーロッパ各国の街ではパブリックビューイングも開かれていた。しかし一方で、会場内でクラスターが起きたほか、パブなどの会場外でのクラスターの発生も報告されている。 例えば、約2万2000人を収容しロンドンで行われたイングランド代表vsスコットランド代表の試合では、会場で観戦した397人が新型コロナウイルスに感染したことが発覚した。また、ロシアで行われたロシア代表対フィンランド代表の試合では、全員が試合を観戦したとの確認は取られていないものの、試合後にロシアからフィンランドに帰国した人のうち約300人が新型コロナウイルスに感染したそうだ。さらに、スコットランドの保健当局は、バーや会場内での感染者も含め、開催から約2週間で約2000人の人がUEFA EURO 2020に関連して新型コロナウイルスに感染したと発表している。実際、UEFA EURO 2020の影響もあってか、現在の新型コロナウイルスの新規感染者数は7月の初旬と比べると、試合会場となったイギリスでは約2倍、オランダでは10倍近く増えている。 だが、こういった状況でありながらも、ヨーロッパでは世間からは否定的な声は少ないようだ。30代のイギリス人男性はUEFA EURO 2020の有観客開催を支持するとともに、「やっと世界が元に戻ってきた」と語る。UEFA EURO 2020によって感染が拡大した可能性は否定できないとしながらも、「私たちはコロナを恐れて家にずっと籠るわけにはいかない。そんな生活の方が辛い」とコロナとの共存する生活の必要性を訴えた。そして、「感染者は増えているものの、重症者数や死亡者数は減っている」と触れ、「必要以上に怖がる時期はもう終わったし、みんなそう思っている」と明かしていた。また、別の60代のドイツ人男性はUEFA EURO 2020の開催によって、「生きがいがやっと戻った」と明かす。これまで楽しみがなかったことの方が「恐ろしかった」と話し、「スポーツを見るなどの趣味を奪われることはそれこそ健康に悪影響だ」と伝えていた。 ヨーロッパでは感染のリスクを負いながらも、ある程度の娯楽を優先させる状況に現在はシフトしつつあるようだ。すでに次の段階へ進んでおり、東京オリンピックの無観客は残念に映るのかもしれない。記事内の引用について「Olympia ohne Publikum: Gold-Schütze Reitz bleibt gelassen」(Bayerische Rundfunk)よりhttps://www.br.de/nachrichten/sport/olympia-ohne-publikum-gold-schuetze-reitz-bleibt-gelassen,ScegCYU「Spectators banned from most Olympic events as Covid emergency declared」(The Guardian)よりhttps://www.theguardian.com/sport/2021/jul/08/tokyo-to-be-put-under-state-of-emergency-for-duration-of-2020-olympic-games
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社会 2021年06月28日 06時00分
日本人観光客を受け入れ始めたヨーロッパ、アジア人差別はもうない? 現地での意識に変化は
新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、新規感染者数が減少したヨーロッパ各国は観光客を受け入れ始めた。コロナ禍以前は日本人の旅行先として人気だったヨーロッパだが、旅行に行きたい気持ちがある一方で、アジア人差別を不安視している日本人も多いようだ。 ヨーロッパではコロナ禍を巻き起こしたとしてアジア人差別が横行し、道で襲われるなどの被害が多発していた。特にフランスではレストランでアジア人だと分かると奥の席に案内されたり、順番を待っているにもかかわらず欧米人を優先させアジア人をなかなか席に通さないなど、アジア人差別が顕著だったといえるだろう。もともとフランスではアジア人に対する差別が見受けられていたがコロナ禍でさらに拍車がかかり、ツイッターなどでは「コロナをはやらせたアジア人を見たら暴力を振るおう」というようなツイートが出回って実際に殴られたというアジア人の被害者も多くいた。 >>感染を疑い恋人を殺した男や、外で騒ぐ若者を射殺した男も コロナ禍の影響で起きた殺人事件<< このような事件は日本でも広く報道されていたが、いまだに恐怖を感じている日本人は多いようだ。SNSを見ると日本人からは、ヨーロッパに旅行することに対し「コロナが落ち着いてもヨーロッパへの旅行は怖い。まだきっとアジア人差別があるはず」「ワクチンを打ってコロナに対しては安心できても差別が怖くてヨーロッパには行けない。今もコロナによるアジア人差別が蔓延していると噂で聞いた」「パリに旅行したいけどアジア人差別が落ち着くのはコロナが収まってから2〜3年後だと思う」などの声が挙がっている。 しかし実際のところはどうなのだろうか。2020年11月頃、アジア人に暴力を振るおうというツイートが横行していたフランスでは現在、アジア人差別はコロナ禍以前と同じ程度に戻ったという。その背景にはアジア人に対する暴力を誘導したツイートをした5人が起訴され、5月26日に5人のうち4人に有罪判決が言い渡されたことも関係しているだろう(残りの1人は無罪)。起訴された5人は19歳から25歳の若者で、フランスの有名大学に通っていた学生らであったことから、このニュースはフランスを中心にヨーロッパで広く報道されていた。これもあり差別が罪であるということが改めて認識されたようだ。 フランス在住の日本人は、ヘイトツイートが蔓延していたときは外出はなるべく控え、どうしても外出しなければならない時は下を向いてアジア人だとバレないようにしていたというが、現在はコロナ禍以前のように普通に外出しているという。アジア人差別を感じられる場面がないわけではなく、コロナ禍が原因かは不明なもののスーパーなどではアジア人だと分かると、他の欧米人と比べてレジ担当の店員に明らかに嫌な顔をされることもあるという。しかし「暴力を振るわれるほどの恐怖はもうない」と話す。 またほかの国ではフランスほどもともとアジア人に対する差別がなかったこともあり、コロナ禍にかかわらず、レストランなどで差別的な行為を受けることはほぼないという。ドイツ在住のあるドイツ人は、コロナ禍でもアジア人差別をした人を見たことはないとし、「もうコロナは落ち着いているし、今も日本人の観光客を見ても別になんとも思わない」と話していた。またイタリア在住の日本人は、地域にもよるが、コロナ禍でアジア人差別がイタリアで目立ってはいなかったことを明かしつつ「イタリアの観光業は日本人観光客を含めたアジア人によって潤っていたからむしろ歓迎されると思う」と伝えていた。 実際、すでにヨーロッパに旅行した人も出てきており、差別は感じられなかったという声も多い。ドイツからフランスに旅行したという在独日本人家族は差別には遭わなかったといい、「市民の間ではもうコロナ自体が落ち着いているという雰囲気もあって、アジア人差別も忘れられていたかのようだった。差別を覚悟で行ったから逆に拍子抜けした」そうだ。一方で、日本からドイツに旅行したという日本人は差別を感じなかったとした上で「アジア人旅行客はまだほとんどいなくて目立ってしまい、変な目で見られていた気はする」と多少の違和感があったことを明かしていた。 コロナ禍によってあらわになったアジア人差別。コロナが収束しても差別を恐れて旅行をしばらく避けようと考えている日本人は少なくはないだろう。しかし日本人が思っているほどヨーロッパではアジア人差別はないのかもしれない。
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社会 2021年06月13日 06時00分
コロナへの恐怖は薄れた? 規制解除で観光客が爆増しそうなヨーロッパ、アジア人観光客を求める声も
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ヨーロッパ各国で入国が制限され、しばらくの間旅行が規制されていたが、イタリアやギリシャを筆頭に、ヨーロッパでは5月中旬から徐々に旅行者に対する規制が解除され始めた。そんなヨーロッパではすでに多くの人が旅行を楽しんだり、旅行の計画をし始めているようだ。 ヨーロッパでは昨年3月のロックダウン以降、旅行を制限する国がほとんどで、基本的にはビジネスや健康に関する渡航以外は国境を超えることは禁止ではないものの、控えるように政府が呼びかけてきた。しかし、今年の5月中旬頃から規制が解除され、現在はほとんどのヨーロッパ各国でワクチン接種を終えていて、ワクチン接種を終えた証明書を提示したり、PCR検査でのコロナの陰性証明書があれば自由に旅行ができる。ワクチン接種を終えていれば入国後の隔離措置もない。また、EUは日本人観光客を隔離なしで受け入れると6月3日に発表しており、今後、さらに旅行客を受け入れていこうという姿勢が見て取れる。 旅行者への規制が解除された背景には、ヨーロッパ各国の2回目のワクチンの接種率がどの国も2〜3割前後となっていることから感染のリスクが低下したと思われていること、また渡航のために必要なPCR検査が容易に行えることが挙げられるだろう。PCR検査に関しては、例えばドイツの場合は、オンラインで簡単にPCR検査の予約ができ、検査は無料。結果は12〜24時間後にはメールで送られてきて、チェックインの際と入国時にメールで送られてきた陰性の結果を提示するだけだ。 このような状況があるからか、規制が解除されてからヨーロッパの人たちは旅行に対して前向きな姿勢を見せている。空港ではすでに子連れで旅行に出かける人を多く見かけ、旅行を楽しもうとしている人が多いようだ。ドイツから8か月の子どもを連れてギリシャに旅行に行くというドイツ人家族は「また旅行の規制がされるかもしれないから今のうちに行かなければと思った」と話す。昨年はどこへも行けなかったからその分、今年は目一杯旅行を楽しみたいと言い、幼い子どもを連れての旅行も「ヨーロッパではどの国もワクチンの接種が進んでいるし、渡航先のギリシャはみんなマスクをしていて感染対策をしていると聞いている。観光客は多いみたいだけど、みんなPCR検査を受けた上で旅行しているから怖くない」と明かしていた。フランスからイタリアに旅行したというイタリア人カップルは旅行が解禁されたことを喜び、「規制が解除されてすぐにチケットを取った。私たちの周りでも多くの人が夏のバカンスの予定をすでに立てている」と明かしていた。 >>レストランには高齢者ばかり? 距離感など気の緩みに心配の声も、ドイツのワクチン接種遅れが批判されない理由<< 観光が再開されたことで、少しずつコロナ禍以前の活気を取り戻しているヨーロッパ。だが、観光地からは心配の声も挙がっているようだ。 観光業が主な産業となっているギリシャでは、コロナ禍で苦しい状況が続いていたものの、少しずつヨーロッパからの観光客が増えてきた。だが、日本や韓国などアジア圏からの観光の解除がされたにも関わらず、ホテルにはヨーロッパ以外の国からの予約がほぼ入っていないという。ギリシャのとあるホテルのオーナーは「コロナ禍前はアジアからの観光客が多く、それが重要な収入源になっていた。規制が解除されたことで予約が殺到するかと思ったが、今のところ予約はほぼない。しばらくこの状況が続くのかと不安になる」と話す。 なお、旅行をするからといって、周りから批判的な目を向けられることはないようだ。ドイツからギリシャに旅行したという在独日本人家族は「まだ感染者がいる中での旅行は周りから批判を受けるかと思ったけど、むしろ楽しんできてねという反応だった。批判を受けると思ったと友人などに明かすと、『なんで?』『コロナ禍でいつ何が起こるか未来のことは分からないと学んだでしょ? 今やれることを楽しむべき』と言われて拍子抜けした」と明かしていた。 コロナが収束したわけではなく、現在もリスクはゼロではない。しかし、ヨーロッパではバカンスシーズンを目前に、多くの人が旅行に胸を躍らせているようだ。
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社会 2020年10月04日 06時00分
ヨーロッパの自殺率が低い理由 芸能人へのバッシングも日本より少ない?
昨今、芸能人の自殺が相次いでいる日本。『経済協力開発機構(OECD)』が発表した2018年の日本の10 万人あたりの自殺率は14.9人で、世界と比べるとワースト1位の韓国、2位のリトアニアなどに次いで世界で7番目に自殺率が高い。結果からも分かるように、自殺は近年、日本のもっとも深刻な社会問題になっているが、日本より自殺率が低い国が多いヨーロッパでは、自殺に対してどのような意識を持っているのだろうか。 >>教師からショートパンツを穿かされるなどのいじめを受けていた男子生徒が自殺<< ヨーロッパの人々に話を聞くと、ヨーロッパで自殺率が低いのは宗教が関係しているようだ。ヨーロッパにはカトリック教徒が多く、カトリックの教えで自殺はいけないもの、恥ずかしいものと捉える人が多いという。そういった考えから、自殺の場合、家族が葬儀をしないことも多く、葬儀をする場合は自殺ということを隠して事故死と説明することもあるそうだ。 「特に、スペイン、イタリア、ギリシャといったラテンの国では、家族や友人の繋がりが強いので、周りに自殺者がいたら、家族や友人の絆が疑われます。そのため、身内や友人に自殺した人がいたら隠す傾向にあると思います」(30代スペイン人男性) とは言え、最近では自殺を隠す傾向は以前よりは薄れてきているという。その人が選んだ最期を尊重すべきという考えを持つ人が若者を中心に多くなり、「心の病は誰にでもあることで恥ずかしいことではない」という態度で、きちんと説明して葬儀をすることも増えているそうだ。 そんなヨーロッパでは、メンタルヘルスケアについても日本より進んでいて、社会では心の病は体の病と同等に扱われることが多い。精神科やセラピーにかかることも珍しくなく、仕事で悩んだ時や恋人と別れて辛い時など、幅広く利用されている。 「周りのドイツ人らに話を聞くと、ドイツでは、心の病で診断書を書いてもらって会社を休むという人も珍しくないようです。ちなみに、昨今増えてきたとは言え、『日本では心の病で診断書を会社に提出するのは、多いケースではない』とドイツ人らに話すと、『ただでさえ日本人は働きすぎなのに、追い詰められたら仕事を辞めるしかないの?』『会社に上下関係もあって大変そうなのに、会社はストレスを見て見ぬ振りをしようとしているのか』と驚かれました」(ドイツ在住日本人) なお、ヨーロッパでは芸能人も同様で、心の病を抱えていることや、心の病が原因で通院していたりセラビーを利用していることを隠す人は少ないようだ。また、メディアの前で常で笑顔でいることが必ずしもいいとされず、怒りの感情や悲しい感情を大っぴらに出すことも珍しくない。 「日本のように、芸能人は常に笑顔で、という雰囲気はヨーロッパにはないと思います。特に怒りの感情を顔や態度で示す芸能人や有名人は多いですね。SNSで反論することもしばしばあります。ですが、そういった反応に対して世間がバッシングすることは日本より少ないですし、感情を表に出したからといって世間が引くこともない。『人間ならそういう時もあるよね』と思う程度です」(ドイツ在住日本人) ヨーロッパの人の考え方を知ることは、日本の自殺率の減少に少なからず影響力を与えるかもしれない。記事内の引用について「Suicide rates」(経済協力開発機構(OECD))よりhttps://data.oecd.org/healthstat/suicide-rates.htm
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