>>教師からショートパンツを穿かされるなどのいじめを受けていた男子生徒が自殺<<
ヨーロッパの人々に話を聞くと、ヨーロッパで自殺率が低いのは宗教が関係しているようだ。ヨーロッパにはカトリック教徒が多く、カトリックの教えで自殺はいけないもの、恥ずかしいものと捉える人が多いという。そういった考えから、自殺の場合、家族が葬儀をしないことも多く、葬儀をする場合は自殺ということを隠して事故死と説明することもあるそうだ。
「特に、スペイン、イタリア、ギリシャといったラテンの国では、家族や友人の繋がりが強いので、周りに自殺者がいたら、家族や友人の絆が疑われます。そのため、身内や友人に自殺した人がいたら隠す傾向にあると思います」(30代スペイン人男性)
とは言え、最近では自殺を隠す傾向は以前よりは薄れてきているという。その人が選んだ最期を尊重すべきという考えを持つ人が若者を中心に多くなり、「心の病は誰にでもあることで恥ずかしいことではない」という態度で、きちんと説明して葬儀をすることも増えているそうだ。
そんなヨーロッパでは、メンタルヘルスケアについても日本より進んでいて、社会では心の病は体の病と同等に扱われることが多い。精神科やセラピーにかかることも珍しくなく、仕事で悩んだ時や恋人と別れて辛い時など、幅広く利用されている。
「周りのドイツ人らに話を聞くと、ドイツでは、心の病で診断書を書いてもらって会社を休むという人も珍しくないようです。ちなみに、昨今増えてきたとは言え、『日本では心の病で診断書を会社に提出するのは、多いケースではない』とドイツ人らに話すと、『ただでさえ日本人は働きすぎなのに、追い詰められたら仕事を辞めるしかないの?』『会社に上下関係もあって大変そうなのに、会社はストレスを見て見ぬ振りをしようとしているのか』と驚かれました」(ドイツ在住日本人)
なお、ヨーロッパでは芸能人も同様で、心の病を抱えていることや、心の病が原因で通院していたりセラビーを利用していることを隠す人は少ないようだ。また、メディアの前で常で笑顔でいることが必ずしもいいとされず、怒りの感情や悲しい感情を大っぴらに出すことも珍しくない。
「日本のように、芸能人は常に笑顔で、という雰囲気はヨーロッパにはないと思います。特に怒りの感情を顔や態度で示す芸能人や有名人は多いですね。SNSで反論することもしばしばあります。ですが、そういった反応に対して世間がバッシングすることは日本より少ないですし、感情を表に出したからといって世間が引くこともない。『人間ならそういう時もあるよね』と思う程度です」(ドイツ在住日本人)
ヨーロッパの人の考え方を知ることは、日本の自殺率の減少に少なからず影響力を与えるかもしれない。
記事内の引用について
「Suicide rates」(経済協力開発機構(OECD))より
https://data.oecd.org/healthstat/suicide-rates.htm