1975(昭和50)年12月、青森県某市のアパートで当時29歳の女性が血まみれの状態で周辺の住民に助けを求めた。
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女性は腹を深く刺されていた。「助けて!」の声を聞いた近所の主婦の介抱を受け、救急車で病院へ運ばれたが、手当てのかいなく搬送先の病院で死亡した。
この女性は市内の看板屋に勤める長田靖子さん(仮名)。気立ての良い穏やかな性格でとても恨みを買うような人物ではなかった。
警察は聞き込みをしたが、思いのほか早く容疑者を特定することができた。その容疑者はなんと当時小学5年生の男の子Aだったのだ。血の付いた包丁を握りしめ長田さんの自宅から、慌てて逃げ出す少年の姿を近所の主婦が目撃しており、近くの芝生では血の付いた折れ曲がった包丁が捨てられているのが見つかっている。警察がA少年を捕まえたところ、長田さんを包丁で刺したことを認めた。
一体なぜ、Aは長田さんを包丁で刺したのか。
Aは、父親が漁師で母親も仕事に出ており、家にいないことが多かった。面倒を見ていたのは近所のアパートに住むおばで、長田さんはこのアパートに住んでいた。
小さい頃からAにおばに預けられているため、長田さんもAのことは小さい頃から知っており、会えば声をかけるなどしていた。
だが、悲劇は突然起こった。Aはおばの部屋に遊びに行く際、長田さんがカギを締めずに慌てて外へ出かけるのを目撃した。
Aは興味本位で長田さんの部屋に侵入。テーブルの上に放置してあった数枚の1万円札を見つけ、手でつかんでポケットにしまおうとしたその時、長田さんが帰宅。「泥棒!」と叫ばれ、パニックになったAが台所にあった包丁で思わず刺してしまったのだという。
Aは決してお金に困っていたわけではないが、おばに預けられる寂しい境遇であり、また5年生はお金に対し執着し始める年頃でもある。好奇心によって顔見知りのお姉さんを殺してしまったのだ。