9月28日、阪神、巨人が下位チームとの対戦を取りこぼし、首位・東京ヤクルトがゲーム差を広げた。そのヤクルトが29、30日に連勝することが条件となるが、阪神がこの広島3連戦の残り2試合で一つも勝ち星を挙げられなかった場合、優勝へのマジックナンバーが点灯する。セ・リーグが最後まで盛り上がるかどうか、全ては阪神の踏ん張り次第である。
「前半戦のお祭りムード、快進撃の立役者は佐藤です。佐藤が打てば、チームの士気もまた高まってくるんですが」(在阪記者)
>>阪神・佐藤に「わざと援護したのか?」の声 ライバルをアシストした怠慢プレーが物議、球団OBも激怒「スタメン外して」<<
完封負けを喫した28日、佐藤は「7番・右翼」でスタメン出場したが、ノーヒット。1993年に記録された53打席連続無安打の野手ワースト記録に並んでしまった。
試合後の佐藤はノーコメント。矢野燿大監督も「佐藤のことを聞かれる」と身構えていた。共同会見で無得点に終わった打線のことを質問されるのと同時に表情が厳しくなり、
「点取らんとね、どうしようもないし。内容自体もちょっと寂しい」
と吐き捨てた。
記者団が「中でも、佐藤が」と言った瞬間、すぐに言い返そうと口元が動いた。まだ質問の途中であり、気持ちを抑えたのだろう。記者団の質問を最後まで聞いた。
「ヒット1本が出れば、調子も上がってくると思うんですが?」
矢野監督は自身もそう捉えていると返した。不振だが、5試合連続でのスタメン起用だった。「明日もスタメン起用していくのか?」の問いには、「そんなん、今はわからへん」と答えた。今後の起用法については明言を避けた。
阪神OBのプロ野球解説者が指揮官の胸中をこう代弁する。
「不振脱出のため、1打席でも多く立たせてやりたいと思う反面、優勝争いで厳しい局面にいるので、どうすべきか迷っているんだと思います」
同日の試合前、佐藤はいつものように早出特打ちをしていた。その打球は特大アーチを量産していた前半戦と変わらず、「本当に不振なのか?」と思ってしまうほど。その日は矢野監督らも見守っていた。
「不振脱出は近いと思ったみたいですよ」(在阪記者)
首脳陣の読み、期待は外れたわけだ。まあ、誰が見ても、不振選手の打球ではなかったが…。
ライバル球団のスタッフがこんなことを話していた。
「球宴前後、佐藤が内角球や高めの速球に振り遅れる場面が続きました。この時点で弱点らしきものは見つけていたんですが、五輪期間、ペナントレースが中断となり、佐藤対策に時間を割くこともできました」
高めの速球を意識するあまり、変化球にもタイミングが合わなくなり、空振りすることも多くなった。
ライバル球団スタッフの言葉の通りだとすれば、不振の原因は技術不足ということになる。「ファームで不振脱出のきっかけを掴んだ」とする報道もあったが、一軍と二軍では投手レベルが違う。このままヤクルトを走らせてしまったら、トラの指導力不足も敗因に挙げなければならないだろう。(スポーツライター・飯山満)