同戦の阪神は先発・青柳晃洋が「7回3失点(自責1)・被安打4・与四球4」と粘りの投球で試合を作るも、打線が1点も奪えないまま最終回へ。ただ、最終回2死一、三塁から近本光司、糸原健斗、マルテの3者連続タイムリーで同点に追いつくと、なおも2死一、三塁のチャンスで大山悠輔がタイムリーを放ち劇的なサヨナラ勝ちを収めた。
試合後、監督インタビューに臨んだ矢野監督は9回のサヨナラ劇について感想を求められたが、「苦しかったですけどね、本当に一人一人が…」と口にしたところで言葉を詰まらせる。これを見たインタビュアーが「目が潤んでいるように見えますが?」と聞くと、矢野監督は「ちょっと待ってください」と一旦インタビューを中断した。
目を赤らめた矢野監督はその後、5秒ほど無言で前方を見上げて間を置いた後にインタビューを再開。「いやもう、全員の気持ちだと思います」と、チーム全員が最後まで諦めなかったことがサヨナラ勝ちにつながったと語った。
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矢野監督の号泣インタビューを受け、ネット上には「サヨナラ勝ちしたのはいいけど矢野監督の様子が不安、明らかに精神崩壊してない?」、「昨日一喜一憂しないって言ってたのに、もう忘れるくらい追い込まれてるのか?」、「このところ急失速やサイン盗み騒ぎと色々あったし、『このまま低迷したらどうしよう』って思いつめてたのかな」、「敗戦濃厚のところからサヨナラ勝ちしたから、喜びとか安堵とか様々な感情が入り混じったんだろうな」と心配の声が寄せられている。
「矢野監督は敗北を喫した前日11日・巨人戦後の監督インタビューで『俺らは一喜一憂で戦うことはない』と、現時点ではまだ勝ち負けを特に意識してはいないと強調。ただ、翌日の試合では一転して感情的な姿を見せたため、『昨日の言葉は何だったんだ』と驚いたファンは多いようです。阪神は12日終了時点で首位に立っているものの、最大8ゲーム(6月18日時点)あった2位巨人との差は2ゲームまで縮小。また、6日・ヤクルト戦では二走・近本がサイン盗みをしているのではと疑われるなど思わぬ騒動にも見舞われています。そのため、矢野監督は相次ぐ逆風で苦悩を深めている中、選手たちが最後まで諦めずに試合をひっくり返した姿を見て感情が抑えられなくなってしまったのではないでしょうか」(野球ライター)
インタビューの最後に「今日みたいな感動できるような試合が毎日できるわけじゃないですけど、そういう思いで僕たちは戦ってるので一緒に頑張ってもらえたらなと思います」と、再び声を詰まらせながらファンに呼びかけた矢野監督。2005年以来のリーグ優勝に向けた戦いには想像以上の重圧が生じているのかもしれない。
文 / 柴田雅人