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大坂なおみの「うつ病」と深田恭子の「適応障害」、原因に大きな違い? かかりやすい性質の人は

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大阪なおみ

 テニス選手の大坂なおみが5月31日、自身のツイッターで全仏オープンのシングルス2回戦を棄権することを表明するとともに、2018年の全米オープン以来「うつ病」を患っていたことを明かした。また、大坂は自身がもともと内向的であったことや、世界中のメディアを前に話すことに大きな不安を抱えるようになっていたこと、大会でヘッドホンを使用していたのは社交不安を和らげるためだったことなどを告白している。

 近年、メジャーな精神疾患の1つとして広く知られるようになってきたうつ病だが、改めてどんな病気なのか整理したい。

 うつ病の主な症状には、強い抑うつ気分、物事への興味の喪失、喜びの感情の喪失などがある。また、攻撃的になったり、自殺念慮を伴う場合もあり、不眠・過眠、疲労感、倦怠感などの他、しびれなどの身体症状として表れることもある。実際の診断では、症状の種類や数といったある一定の診断基準に基づき、特有の症状が一日中、ほとんど毎日、2週間以上続いていること。かつ日常生活や社会生活に支障をきたしている場合にうつ病と診断される。

 うつ病の原因は未だはっきりと解明されていないが、気質・性格などの内的要因や生活環境の大きな変化などの環境要因、病気や疲れといった身体的要因などが複雑に組み合わさって発症すると考えられている。脳科学的には、脳の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの分泌バランスの乱れが関係しているとも言われている。

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 また、うつ病は、「適応障害」と症状がよく似ていることから、しばしば混同される。

 適応障害といえば、直近では女優の深田恭子が医師から診断を受けたと5月末、所属事務所から発表があったばかりだ。一部報道によると、深田は昨年春ごろから体調面に不安が生じていたという。また、かつて親交があった芦名星さんや、三浦春馬さん、竹内結子さんなどの俳優仲間がコロナ禍で立て続けに亡くなり大きなショックを受けていたとも伝えられている。そして5月中旬ごろ、映画撮影後に倒れて救急搬送される前には3週間近くにわたり激務が続いていたという。

 適応障害とうつ病の違いには、どういったものがあるのだろうか。

 適応障害は、うつ病で見られる症状とよく似ているものの、何に対しても無気力になってしまううつ病に比べて、抑うつ状態がありながらも自分の興味があることは楽しめる点に違いがある。また、原因が特定しづらいうつ病に比べて、適応障害の発症のきっかけははっきりと特定することができ、発症のきっかけとなった出来事から3カ月以内に症状が表れていることが診断基準の1つとされている。

 さらに、遺伝や気質などの病前性格が関連しているとの考え方が強いうつ病に対して、適応障害になりやすい人の傾向などはなく、どんな人でもかかる可能性がある疾患とされているため、うつ病に比べてより身近な疾患と言える。

 うつ病と適応障害の治療に共通するのは、休養やストレス要因を取り除くなどの環境調整だ。うつ病では、考え方や行動に変化を与えることでストレスを軽減する認知行動療法などの心理療法や薬物療法なども積極的に用いられる。適応障害でも、場合によってはそれらが用いられることもあるが、必要なく治癒することがほとんどだ。

 適応障害は、発症のきっかけとなったストレスを取り除けば、半年以内には症状が軽減するか治癒するとされている。ただし、その後に再発する可能性もある。一方、うつ病の場合は、原因を取り除いたからといって症状が改善するものではなく、治療を受ければ早くて半年ほどで回復するが、平均では1〜2年を要するとみられており、再発率が高いという特徴がある。

 近年では、適応障害と同じくうつ病も人を選ばないという見方が強いため、いずれにしても他人事ではない。

 うつ病も適応障害も、その他の病気と同じく早期発見が功を奏するので、大きな生活環境の変化がある時や体調を崩しがちな時などには、心や身体の変化についてより一層注意されたい。

文:心理カウンセラー  吉田明日香

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