千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が一軍デビューした(5月16日)。5イニングを投げ、被安打6失点4。勝ち投手の権利を持ってマウンドを降りたが、救援陣が同点に追いつかれ、「初登板初勝利」とはならなかった。
試合後、佐々木の第一声は「疲れた~」。共同・代表会見で見てきた限りだが、怪物は取材の受け答えだけではなく、先輩選手にもきちんと敬語で話している。球団広報の回すハンディカメラの前で出た「疲れた~」のセリフは本心から出たものだろう。
「同日の最速は154キロ。平均でも150キロは超えていたはず。投球の6割以上が真っ直ぐでした」(プロ野球解説者)
直球勝負、試合後の談話。デビューマウンドは初々しいものだったが、ネット裏は違った。
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今後、佐々木と対戦していくパ・リーグ各球団のスコアラーはもちろんだが、メジャーリーグのスカウトも何人かいた。
「佐々木も将来のメジャーリーグ挑戦の夢を持っています。高校時代もグラウンドにメジャースカウトが来ていました」(在京球団スカウト)
日本のプロ野球界とメジャーリーグの間で交わされた協定によれば、アメリカは日本のアマチュア選手をドラフト指名することはできないことになっている。
とは言え、米スカウトは、甲子園大会の視察も続け、佐々木に対しては高校時代の岩手県大会にも足繁く通っていた。
「日本のアマチュア選手を指名できないのにどうして視察するのか?」――。
この疑問をア・リーグ中部地区のアジア地域担当のスカウトにぶつけてみた。
「直接(米球界のドラフト会議で)指名できないのは分かっています。将来、お目当ての選手が日本のプロ野球チームを経て米球界に挑戦する時、迎え入れる側として、たくさんのデータがほしいんです。高校時代も含めて」
日本のプロ野球選手が海外フリーエージェント権を取得するまで約9年の一軍登録を要する。ポスティングシステムを利用するとしても、数年は在籍し、チームに貢献してからになる。米スカウトたちの甲子園視察は中・長期の先行投資というわけだ。
初登板の視察もその一環と思われるが、それだけではないらしい。
「佐々木の在籍する千葉ロッテの内情、それに佐々木が米挑戦するのはいつ頃なのか、そういう情報を掴むためのパイプ作りと、ロッテ球団との信頼関係を築くため、初登板を視察したんです」(球界関係者)
佐々木の今後だが、いったん、一軍登録を外れ、二軍で再調整するという。初登板を見る限り、一軍ローテーションでもやっていけそうだったが、二軍調整させるのは海外FA権取得を遅らせるためかもしれない。(スポーツライター・飯山満)