しかし、原辰徳監督は「一軍戦力」として計算に入れている平内龍太(亜大)、伊藤優輔(三菱パワー)の両投手をマウンドに送った。負け越すことのできない相手に対し、新戦力は隠しておきたいはずだが…。
「広島の佐々岡監督もドラフト1位・栗林、2位・森浦、3位・大道の3投手を投げさせています。V奪還をめざす広島も今季の巨人戦は絶対に勝ち越したいはず」(球界関係者)
試合結果は両チームの投手が奮闘し、無失点での引き分けとなったのは既報通り。期待の新戦力が結果を出したことに原監督も笑顔を見せていたが、対戦した広島はもちろん、ネット裏には他球団のスコアラーも陣取っていた。
「平内は直球中心のピッチングでした。持ち球の変化球を全部見せないよう、指示されていたのかもしれません」
ライバル球団のスコアラーがそう言う。
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対照的な情報も聞かれた。平内は「もっと投げさせるべき」との意見だ。
「キャンプ序盤から平内はプロのマウンドに違和感を持っていました。マウンドの土が固いと感じており、その違和感をなくすには実戦を積み重ねていくしかありません」(前出・球界関係者)
また、チーム事情も影響していたようだ。今季は投打ともにベテラン、主力選手たちには意図的にスローペースでの調整をさせており、開幕直前のオープン戦になれば、それは全て彼らの調整機会となる。若手がアピールする機会は「2月中しかない」という。
「平内は11日の紅白戦でも投げていますが、1イニングだけ。先発で起用していく予定なので、広島戦では2イニング目、3イニング目にどんなピッチングになるのか、見てみたかったのでは」(前出・同)
3イニング無失点なので、合格だろう。
もっとも、平内の好投で“恩恵”を受けた選手もいた。小林誠司捕手だ。
二盗を阻止するなど肩の強さは相変わらずだが、平内を無失点ピッチングに導いたことでリード面も評価されたはずだ。昨季は故障もあり、出場機会が激減した。首脳陣が計算に入れている新人投手から「頼りになる先輩」と思われれば、ペナントレース本番でもバッテリーを組むことになる。原監督の「実戦向き」なる平内評には、再起をめざす小林のことも含まれていたのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)