田口は「26登板・5勝7敗2ホールド1セーブ・防御率4.63」に終わった昨季からの巻き返しをかけ1日からの春季キャンプに臨んだが、3日に右太もも裏の張りのため一軍キャンプを離脱。これを受け原監督は「職場放棄だ! サラリーマンじゃあ重罪だよな」と、ブルペンに入ることなく離脱した田口をバッサリと切り捨てた。
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原監督の辛らつなコメントを受け、ネット上には「3日で離脱はさすがに早すぎ、ボロクソに言われるのも当然」、「苛立つ気持ちは分かるが、重罪っていうのは言い過ぎでは?」と賛否の声が多数寄せられている。一方、一部では「今年もなかなか口が悪いな」、「去年から全く変わらない毒舌っぷりだ」といったコメントも見られた。
これまで巨人で3期(2002-2003,2006-2015,2019-)にわたって指揮を執り、2019年からの第3次政権では昨季までリーグ2連覇をもたらしている原監督。昨季は開幕から常に首位を維持しての独走優勝だったが、この間選手への辛らつなコメントが何度かネット上で物議を醸している。
原監督がまず突き放したのは、2020年9月7日にロッテにトレードされるまで巨人でプレーしていた澤村拓一。同年の澤村は開幕一軍こそつかんだものの「13登板・1勝1敗1ホールド・防御率6.08」と振るわず7月26日に二軍落ち。二軍でも調子は上がらず8月11日には三軍降格となった。
三軍降格と同日に原監督は「(不振の原因を)メンタルで逃げる人は神頼みでもすりゃあいい」、「技術が足りなかった、体力も足りない、もちろん心も足りなかった、ということ」と澤村をバッサリ。ネット上は「毎回四球連発してるし怒られて当然」、「足りない部分を何とかするのが指導者の役目じゃないのか」と賛否両論となった。
原監督の次なるターゲットとなったのは、昨季「10試合・.056・0本・0打点・1安打」と大不振だった小林誠司。小林は昨季左尺骨、右手人差し指骨折の影響でほとんど試合に出られなかったが、原監督は日本シリーズを間近に控えた11月13日に「小林は野球選手じゃないもん。『元』だもん」、「(試合に出られないほどの)ケガをしてるって野球選手じゃないよ」と発言。離脱が長引く小林を“プロ失格”と切り捨てネット上で物議を醸した。
また、原監督はこの日小林だけでなく、昨季限りで巨人を戦力外となった宮國椋丞も“口撃”している。宮國は2011年のプロ・巨人入りから昨季まで通算21勝と振るわないまま戦力外となったが、原監督はこれについて「可能性のない人に『野球を頑張りなさい』ということの方が非人間的」とコメント。これが伝えられると、一部ファンから「戦力外選手に追い打ちかける方がよっぽど非人間的だろ」と批判を浴びた。
原監督からそれぞれ切り捨てられた澤村、小林、宮國だが、この3名はいずれも昨季故障に見舞われ満足に稼働できなかったという共通点がある。今回の田口も前述の通り故障しているため、原監督が怪我がちの選手を非常に嫌っていることが浮き彫りとなっている。
また、原監督が怪我がちの選手を嫌う背景には、自身の現役時代が関係している可能性もある。原監督は巨人(1981-1995)一筋の現役生活で「1697試合・.279・382本・1093打点・1675安打」といった数字を残したが、この間に左手首骨折、アキレス腱痛、脇腹痛と数々の故障に苦悩した。当時のファンからも「巨人史上最低の4番」などと猛バッシングを受けたため、「俺のような怪我がちの選手にはなるな」という思いも込められているのかもしれない。
体が資本の職業であるプロ野球選手は、故障の有無が直近のパフォーマンスはもちろん、その選手のキャリアにも大きな影響を与える。原監督は成績を残すだけでなく、体調管理もプロとして当然の仕事だと考えているのかもしれない。
文 / 柴田雅人