こんな状況が続けば新型コロナの特効薬が欲しくなってしまうのが人の心理だが、スリランカで「新型コロナにかからない」という触れ込みの「魔法の薬」が登場。人々がこぞって手に入れようとする事態が発生した。
問題の薬はスリランカの大工が「ヒンドゥー教の女神カーリーから独自に授かったレシピ」をもとに作ったものという。なんとスリランカの保健大臣Pavithra Wanniarachchi氏が服用してお墨付きを与えてしまったこともあり、一気に広まってしまったようだ。なお、この「魔法の薬」を飲んだ人の中には他の大臣や政治関係者も含まれていたという。
ところが23日、スリランカ政府はWanniarachchi氏の新型コロナ感染を発表。問題の「薬」に何の薬効も存在しないことを、はからずも保険大臣本人が立証することになってしまったのである。
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そもそもWanniarachchi氏は信心深い人物だったようで、昨年11月にも新型コロナウイルス感染症のパンデミック収束を祈願し、他の聖人の勧めで聖水を川に流す儀式も行っていたという。
新型コロナウイルスのパンデミックは、世界各地に混乱をもたらした。スリランカの事例は極端な例かもしれないが、他にも様々な新型コロナに関連した「奇跡」が報告されている。
南米コロンビアでは、首都ボゴタにあるパン屋の駐車場で、「染み出た水が聖母マリアのような姿を生み出した」として話題になった。しかもパン屋で働く人たちの中に新型コロナの陽性者がいなかったため、「病気から救ってくれる聖母マリア」として多くの人々が祈願に訪れる場所となったのだ。
コロンビアでは昨年4月、「木にイエス・キリスト像が浮かぶ」奇跡の写真が撮影されたことをきっかけに、大勢の人々が巡礼に集まる騒動に発展した事例もあった。この木に浮かんだキリスト像は、新型コロナで都市封鎖となったコロンビア北部の町・マガンゲの大木に出現したもの。町の人々は「新型コロナから人類を救うためにイエス・キリストが降臨したのだ」として外出制限が出ているにもかかわらず、奇跡を求めて集まってしまったのだそう。これでは本末転倒である。
病気を恐れる気持ちは誰もが抱くものだが、正しく警戒して予防することが何より重要である。むやみに信じ込んでしまうと、かえって正確な病気予防や対策を妨げてしまうのだ。
(山口敏太郎)