音楽ユニットDPGのメンバーとして活動していた辰巳は、13年夏、坂崎に誘われて同団体に入団した。しかし、辰巳は度重なるケガもあり、坂崎の後塵を拝してきた。その坂崎は19年11月、同王座を奪取(2度目)すると、1年以上ベルトを死守してきた。同王座に過去3度挑戦するも、悲願はならなかった辰巳は“4度目の正直”を掲げて挑んだ。試合は、序盤から辰巳が坂崎の足を徹底攻撃すると、坂崎はブレーンバスター連発などで応戦。中盤には強烈なエルボーの打ち合いを展開。15分過ぎ、坂崎は後頭部、正面へのスライディング・ラリアットから必殺の魔法少女にわとり野郎を狙うも自爆。チャンスと見た辰巳は低空ドロップキック、ドラゴンスクリューから足4の字固めに行くも、坂崎はなんとかロープエスケープ。辰巳はグラウンドでのドラゴンスクリュー連発、ヒップアタックから再び足4の字固めを決めた。悶絶しながら耐えた坂崎だが、これ以上は危険と判断したレフェリーが試合を止めて、辰巳が王座を奪取している。
試合後、坂崎と握手を交わした辰巳は「ずっと何度挑戦しても届かなくて。やっとこのベルトに届きました。ユカちゃんは強くてすごすぎて最高の同期です。私の気持ちも全部受け止めて闘ってくれてありがとうございました。まだ世界はいろんなことがあって制限ばかりだけど、私もそうだったように、東京女子プロレスが皆さんにとって希望になっていたらうれしいです。やっと手に入れたこのベルトといっしょに東京女子という希望を守っていきたいと思います。これから防衛ロードが続いていくと思いますが、死ぬまで防衛していこうと思います」と涙ながらにマイク。ここで「白昼夢」として、辰巳のタッグパートナーを務める渡辺未詩がリングに上がり、「リカさん、チャンピオンおめでとうございます。すごく感動したし、去年までリカさんといっしょにタッグのベルトで闘ってきて、たくさん成長できたので、今年はリカさんを超えたいです。そのベルトに挑戦させてください」と突然のアピール。
一瞬、戸惑った辰巳だが、「未詩の気持ちはすごくよくわかる。ずっとタッグでやってきて、タッグチャンピオンとしてやってきたから、このベルトをほしい気持ちはよくわかる。一番にこうやって声を掛けてくれてうれしいです。2月11日、ここ(後楽園)であるから、そこで初防衛戦、闘いましょう」と返答し、2・11後楽園でのタイトル戦が決定した。バックステージで辰巳は「あんなものすごい王者を倒したので、これはもう革命起きましたよね?ここからがまた挑戦になると思うし、ただチャンピオンになったからといって、周りが勝手に変わってくれるわけじゃないので。勝手に有名になるわけじゃないから。私がチャンピオンとして東京女子を引っ張って、自分から動いて変えて、もっともっと大きくしていきます!」と歓喜の声を挙げると続けて、「ユカちゃんとは同期で入ってきてから7年、ずっといっしょにやってきて。でも何か超えたというか、今日の試合も戦略で倒したとかじゃなくて、ただ執念でたどり着けたなって感じですね。今日は私が勝った。それだけです」と同期生との闘いを振り返った。今後については「チャンピオンになって、たくさんやりたいビジョンを考えてきて、たくさん夢を叶えていきたいんですけど。まずは防衛。タッグパートナーの未詩が挑戦しに来てくれて、早速防衛戦も決まったことだし。死ぬまで防衛。でも私、死なないので。私、不死身なので死なないんですよ。100年以上生きるので。万が一引退したとしても、ベルト持ったまま勝ち逃げして永遠に防衛。100年規模、1世紀規模で防衛しようって思っています」と笑みを見せる場面も。
2021年の東女は、王座移動劇から幕を開けた。
◆東京女子プロレス◆
『東京女子プロレス'21』
2021年1月4日
東京・後楽園ホール
観衆 683人(超満員札止め)
▼メインイベント プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合(30分1本勝負)
<王者>●坂崎ユカ(19分22秒 TKO勝ち)辰巳リカ○<挑戦者>
※足4の字固め→レフェリーストップ
※第7代王者が5度目の防衛に失敗、リカが第8代王者となる。
(どら増田)