1977年から1985年まで断続的に放送された『川口浩探検隊シリーズ』、その続編的立ち位置である『藤岡弘、探検隊シリーズ』など、世界各地の秘境で目撃された怪物や少数民族などを求めて探検する同企画は1980年代のテレビバラエティを代表する有名な企画となった。
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本シリーズの特徴は過剰演出の入った探検隊のリアクション。早い話が台本アリのモキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)であり、その手法は後に数多くのバラエティ番組で模倣、パロディ化された。
多くの予算や撮影時間がかかることから、近年ではあまり見られなくなった『探検隊シリーズ』的演出だが、2019年2月にTBS系列の夕方のニュース番組『Nスタ』が、はからずも「現代の探検隊」ともいうべき放送事故を起こし話題になった。
2019年2月21日、『Nスタ』は東京都内で目撃が相次いでいるという猛禽(もうきん)類の鳥「ミミズク」に関するニュースを報じた。
杉並区阿佐ヶ谷でレポートを開始したところ、ある住宅街で止まっているミミズクを発見。レポーターは「ご覧ください。ミミズクは今、手すりの上に止まっています」と実況し「ミミズク見つかる 阿佐ヶ谷で手すりの上に」というテロップが表示された。
だが、人間が近づいても全く動こうとしないミミズクに視聴者は違和感を覚えた。
「いくら何でも動かなさすぎでは?」
ミミズクは非常に耳が良く、敵が近づくと一目散に空へ飛んで行く習性を持つ。それだけに全く微動だにしないミミズクは「置き物」にしか見えなかったのである。
そして番組終了間際、メインキャスターを務める井上貴博アナが「本日生中継で、東京杉並区でミミズクを見つけたとお伝えしました。しかし、確認したところ置き物であったことが分かりました」と謝罪することになった。
まるでコントのような結末に多くの視聴者はズッコケた。『Nスタ』のミミズク事件は放送事故界に残る伝説となっている。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)