1998年ドラフトで逆指名でのドラフト1位として巨人に入団した上原氏。本動画では自身の大学時代をテーマに、プロのスカウトが上原氏に注目するようになったきっかけやプロの世界に行きたいと思った理由などについて語ったが、その中でドラフト前にMLB球団との接触があったことを明かした。
上原氏によると、自身が大学4年生だった1998年夏にあるMLB球団から誘いを受け、同球団の試合を現地観戦したり球団上層部と会ったりしたとのこと。上原氏はその球団から「『ちょっと観に来いよ』ぐらいで軽かった(感じ)」で誘いを受けたのだという。
続けて、上原氏はその球団を含め3、4のMLB球団からも同様の誘いがあったことを告白。また、そのうちの1つが同年に創設されたダイヤモンドバックスだったことや、「『新球団ができたからその顔に』みたいな感じで入ってくれと言われた」という同球団の誘い文句も明かしていた。
こうした誘いを受けたこともあり、当時は「90%以上はMLBに行こうと思っていた」ほど気持ちが固まっていたという上原氏。ただ、そこからドラフトまでの期間にあるMLBスカウトから「100%の自信がないならアメリカでは通用しねえ!来るな!」と言われたという。
この言葉を受けた上原氏は、「『100%の自信って言われたらなあ…』って(気持ちに)なって、言葉の壁や医療関係、住むところとだんだん(自信の)パーセンテージが下がっていった」とのこと。そのため、NPBのプロ志望届の提出期限前日にNPB入りすることを決断したという。
「(スカウトの言葉は)本当に『そうだな』と思った。そんなに甘い世界ではないし、ましてや日本人選手がそんなに(MLBに)行ってない時代だったので」という上原氏。「その(MLBに行かない)選択は僕の中で間違ってたとは思っていない」と断言していた。
今回の動画を受け、動画のコメント欄やネット上には「MLB球団が複数接触していたっていうのは初めて知った」、「実力だけなら通用したかもしれないけど、環境の違いなどに対応できたかは分からないしNPBでプレーして正解だったと思う」、「MLBに直接行ってたら一体どんな現役生活になってたんだろうな」、「上原はNPB1年目にいきなり20勝したから、MLB直行でも2ケタ前後は勝てたんじゃないか?」といった反応が多数寄せられている。
今でこそダルビッシュ有(カブス)、田中将大(ヤンキース)、大谷翔平(エンゼルス)など、複数の日本人メジャーリーガーが活躍しているMLB。ただ、上原氏がMLB行きを断念した1998年当時、日本人選手がMLBに移籍した例はまだ7例しかなかった。
上原氏はプロ入り後巨人のエースとして活躍した後、2008年オフに海外FA権を行使しオリオールズに移籍している。一度は諦めたMLB入りを10年越しにかなえた形となったが、上原氏は「巨人で10年間やったら今の自分がある。『直接行ってれば良かったかなあ』というような思いはあまりない」とも語っていた。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
上原浩治氏の公式ユーチューブチャンネルより
https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg