「何にもしてないから」
広島東洋カープを取材するプロ野球解説者の多くが、佐々岡真司監督にそう話し掛けている。佐々岡監督はダイエット説を否定しているが、就任当初は「痩せたほうがいい」とファンもコメントを寄せていた。
90年代の広島を、先発、リリーフの両方で支えたエースである。当時を知るオールドファンからすれば、スマートな体型だった佐々岡監督が見たいのだろう。
「佐々岡監督がもっとも期待していたピッチャーは、5年目の岡田明丈です。リリーフに配置換えし、セットアッパーの重要どころで使い、『状況次第ではクローザーも』と考えていました」(チーム関係者)
その岡田が期待に応えられなかった。オープン戦4試合で失点6(計4イニング)、防御率9・00。3月13日のソフトバンク戦では2イニング目に炎上し、同16日には二軍降格となった。
広島戦の中継を多く担当してきたプロ野球解説者がこう言う。
「13日のピッチングに関して言うと、登板した6回は走者を出しながらもなんとか抑えました。7回にいきなり炎上したんです。『イニングまたぎ』が苦手なリリーバーもいますが、岡田は先発での経験もあります。イニングまたぎで崩れるなんて考えにくい。技術的に何かが不足しているんです」
岡田は2017年シーズンに12勝を挙げたが、その後は鳴かず飛ばず。重量感のあるストレートが武器なのでリリーフでも起用されることもあったが、今回の二軍調整は少し長引きそうだ。
「昨年4月のヤクルト戦でいきなり崩れたんですよ。急にストライクが入らなくなって。8月にチャンスをもらいましたが、ダメでした。不振の原因として、精神面だと指摘されています」(ベテラン記者)
佐々岡監督が岡田に目を掛けている理由は、重量感のあるストレートももちろんだが、チーム事情で先発、リリーフの両方をやらされてきたことに、自身の現役時代を重ねているからだという。今季のリリーフ専念も「短いイニングなら」と、復活への足掛かりにさせたかったようだ。
「3月22日の中日との練習試合で、リリーフ陣が大荒れとなりました。中田廉は1回無失点でしたが、その後に出てきた藤井皓哉、菊池保則、フランスアが失点を積み重ねていきました」(前出・同)
本来ならば、同日は開幕3連戦の最終日だ。ペナントレースが始まっている時期での投手陣の炎上は、指揮官を不安にさせる。佐々岡監督は就任当初から「救援陣の再整備」をV奪回のカギに挙げていた。期待の岡田が迷走中、懸念材料だった救援陣の調子が上がって来ない…。佐々岡監督が“スマート”になったのは、やはりダイエットではなかったようだ。(スポーツライター・飯山満)