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広島・佐々岡監督が抱える“2つの課題” V奪回を期す今シーズン、「元甲子園ヒーロー」の育成は至上命題か

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 元甲子園ヒーローが挑む「6億円の壁」。広島の中村奨成捕手が合同自主トレに参加して以降、打撃練習に重点を置いている。記者団がぶら下がってくる度に出る言葉は「ヤバイ」だそうだ。2017年・夏の甲子園大会では6本塁打を放ち、「1大会個人最多本塁打記録」を更新した。当時は「清宮よりも中村!」の声も出たほど。1位指名した広島も、「攻守ともに中心選手になれる」と大きな期待を寄せていたが、今のところ、一軍戦での試合出場数はゼロだ。

 「ヤバイ」発言も分からなくはない。しかし、捕手としてアピールすべきなら、「守備」だと思うのだが、中村は打撃を重要視している。おそらく、正捕手・會澤翼の残留が影響していくのだろう。

 「今のところ、打てる捕手、打撃面も期待できる捕手は會澤だけと言っても過言ではありません。その會澤が19-20年オフ、FA移籍せず、チーム残留を決めました。この時点で、V奪回を確信したカープ関係者もいたくらいです」(地元メディア)

 會澤が広島と新たに交わした契約は「3年推定年俸6億4000万円プラス出来高」。一部メディアではそれ以上の金額を報じていた。「打てる捕手」、侍ジャパンの正捕手に対し、“払い過ぎ”とは言えないだろう。しかし、こんな見方もされている。今季、佐々岡真司監督は中村を使ってくるのではないか、と――。

 「近年、どの球団も捕手の査定が甘くなってきました。捕手の務めはピッチャーを助けること。その評価は数字に表れにくいもので、ひと昔前、『捕手の守備評価』は査定には全く反映されていませんでした。捕手出身の野村克也氏がヤクルト、阪神、楽天で『配球の重要性』を訴え、以後、どの球団も捕手を大切にするようになりました。その傾向を會澤に当てはめて考えると、彼が他球団に移籍してしまえば、広島バッテリーのマル秘事項が全部流出してしまう恐れもありました」(球界関係者)

 會澤が破格の好条件を提示された理由は、この辺にもありそうだ。

 「佐々岡監督に課せられているのは、優勝と世代交代です。まずは、一昨年ドラフト1位の小園海斗をレギュラークラスに引き上げ、中村も一軍戦力としてファンに認められるところまで押し上げないと」(前出・同)

 その情報の通りならば、夏の甲子園を沸かせた打撃面で、まずは「代打」となるだろう。バットで結果を出せば、「キャッチャーでも使ってみよう」という流れになるだろう。

 中村の打撃優先の自主トレは、合理的な自己アピールでもある。

 「佐々岡監督は二軍コーチも経験し、中村を見てきました。彼の強肩ぶり、スローイングの正確さも目の当たりにしています」(前出・地元メディア)

 バットアピールが巧く行けば、一気に正捕手奪取もあり得る。中村がチームの起爆剤になってくれたら、広島のV奪回は決して難しくない。(スポーツライター・飯山満)

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