坂本裕哉(立命館大)は即戦力左腕としての期待が高く、順位も2位と指名も上位だったために予想通りの結果であったが、蝦名達夫(青森大)は6位と下位指名ながら抜擢された。
蝦名は青森商業時代からプロに注目されていた野手。青森大学に進学してからも、1年秋から4番として活躍し打点王を獲得。同時に16年秋、17年秋とファーストとしてベストナインにも輝いた。俊足と強肩を活かすために、3年時には外野にコンバートされると、19年春には10戦で3発のホームランを放ち、本塁打王と外野でのベストナインに。19年秋には.406と高打率をマークし、首位打者と4回目のベストナインを獲得し、また主将としてもチームをリーグ戦優勝に導く立役者となった。
ラミレス監督は選考理由を「下位の指名だが、いいポテンシャルを持っているしパワーもある。一軍で見てみたいので機会を与えようと思った」と明かし、「佐野のように機会を与えたい。彼は打つのはいいけどそれ以外はとの評価だったが、今はレギュラーを狙える選手になった。蝦名にも同じような“匂い”を感じる」と、2020年からキャプテンを務める佐野恵太を引き合いに、期待の大きさを示した。
入寮の際には、高校時代から愛用し、「スタミナとパワーが付いた」と実感しているという青森の名産品、黒にんにくを持参。打った後のパフォーマンスも模索中と、周囲を笑わせる明るいキャラクターも佐野恵太と被る面もある。
新人自主トレでも持ち前のパワーで、白球を飛ばす姿が印象的だった蝦名達夫。ベイスターズでは比較的手薄な右打ちの外野手は、入団発表の際に示した「感謝」の心を胸に抱き、背番号61はプロでの第一歩を一軍の宜野湾の地でスタートする。
写真・取材・文 /萩原孝弘