「このまま、引退するのなら、阪神は鳥谷を功労者として認めて和解をし、セレモニーも行う意味ですよ」(在阪記者)
鳥谷の去就問題が進まない理由として、仲介者の存在も指摘されていた。「年俸や出場試合数に条件がある」とのことだったが、これは鳥谷が関西地区のテレビに出演し、完全否定していた。
こちらは、鳥谷の言葉を信じるとして、気になるのは古巣帰還論だ。
「今シーズンの阪神に不安があるからですよ。ドラフトは高校生中心。戦力の補強は外国人選手ばかり。『助っ人8人態勢』で臨むといっても、一軍戦の試合に登録できるのは4人まで。外国人選手が故障した時のバックアップ要員にすぎません」(球界関係者)
つまり、矢野燿大監督がコケた時のことを考えているのだ。
金本知憲氏、矢野監督と2代続けて指揮官が“外様”となった。負け試合が込んでくれば、当然、阪神OBの突き上げは厳しくなる。その時、将来の監督候補がいるか否かによって、阪神関係者の雰囲気は大きく変わってくるという。
「鳥谷と阪神はケンカ別れしたようなもの。和解すれば、鳥谷が監督候補になるのは必至で、生え抜きのOBたちが鳥谷政権の樹立を訴えてくることもあれば、矢野監督のもとでコーチ入閣するという折衷案も出てきます。そういう意味で鳥谷の古巣帰還のウワサが出始めたんです」(前出・同)
独立リーグの指導者がこんなことも話してくれた。2019年のスケジュールが全て終了したあと、鳥谷に連絡を入れたという。
「もし、NPBと契約できなかったら、相談に乗ると…。彼は好人物だから『ありがとうございます』と言っていたが、独立リーグでプレーする気はないと思う」
間もなく、春季キャンプが始まる。キャンプが始まって所属チームが決まらないというのは、致命的だ。いったん、独立リーグのチームでもいいから所属し、それからNPB帰還の方法を模索すべきとの意見も聞かれた。
「一人で練習するよりも、チームの中で練習した方がいい。一人でやる練習には限界があります」(スポーツ紙記者)
目下、ケンカ別れした阪神と鳥谷の間に立てるのは、岡田彰布氏だと目されている。鳥谷が新人だったころの指揮官だ。ただ、岡田氏はハッキリとした物言いをするタイプ。だから、「本当のことしか言わない人」と信頼されていくのだが、鳥谷にとっては聞きたくない言葉も出るかもしれない。独立リーグに行くか、それとも、古巣帰還か。鳥谷にファイナルアンサーを出さなければならない時が迫っている。(スポーツライター・飯山満)