プロ野球12球団の監督会議が開催された(1月22日)。関係者によれば、出席した12球団の監督が話し合う全ての議案が終了した後、「最後に一つ付け加えて…」と、原監督が“アノ問題”を切り出したという。
「セ・リーグの指名打者制導入(以下=DH制)ですよ。ピッチャーが打席に立つ現行ルールを止め、パ・リーグ同様、DH制にすべきだと改めて持論を展開しました」(関係者)
原監督がDH制導入を改めて訴えた理由は、いくつかある。まず、DH制と通常に投手が打席に立つセ・リーグのスタイルでは、得点能力が異なる。それを日本シリーズで痛感したからだが、どうやら、ここに至るまでの間、原監督は有力者にアドバイスを受けたようだ。
「原監督は2つのルール改定を提唱しています。一つはDH制の導入で、2つ目はフリーエージェント制にともなう人的補償の見直しです。ただ、発言した場所が悪かったというか…」(前出・同)
DH制導入の持論を明らかにしたのは、日本シリーズで4連敗を喫した翌日(10月23日)だった。オーナーにシーズン終了の報告を行い、その帰り際で記者団に囲まれた際に出たもの。また、FAの人的補償の見直し論も秋季キャンプ中に発言している。
「原監督の提案は、議論するべき点がたくさんあります。しかし、セ5球団の他の監督、球団のお偉方が追随できないのは、議事録が残るようなきちんとした場所で発言していないからです」(前出・同)
プロ野球の監督が公式の場では発言できる機会は少ない。しかし、原監督も信頼を寄せるアマチュア球界の要人が、「きちんとした場所で発言すべき」とアドバイスをし、今回はそれに従ったという。
「原監督は今年の監督会議で議長に指名されました。全ての議事進行を終え、発言しています。議事進行中、議長が自らの意見を言うことはなかなかできませんが、全ての話し合いを終えた後だったので、全出席者が耳を傾けていました」(在京球団スタッフ)
原監督のDH制導入論に対し、「ピッチャーが打撃練習をしなくて済むので、調整が楽になる」と、他監督からの返答もあったそうだ。
「公式の場で発言せよ」の助言は功を奏したようのである。発言が議事録に残った以上、今後、セ・リーグの他球団もDH制導入の是非を検討しなければならない。
また、こんな情報も聞かれた。
「ソフトバンクの王貞治会長が地元福岡のテレビに出演し、16球団への拡大という持論を展開しました。プロ野球ファンの間では『実現すべき』という意見が多く、いずれは公式の場で検討されることになるでしょう。王会長はルール改定に向け、まずはファンに是非を問いたかったので、公式の場ではなく、メディアを介しての発言となったようです」(前出・ベテラン記者)
原監督が囲み会見などでいったん発言したことで、ルール改定に向け、機運を高める契機になったと評価する声もあるそうだ。
セ・リーグのDH制導入論も、本を正せばソフトバンクの圧倒的な強さにある。原監督のルール改定、王会長の16球団拡大論。巨人、ソフトバンクが日本シリーズで再び対峙するようなことになれば、一気に改革が進められそうだ。
(スポーツライター・飯山満)