どちらも、番組の演出上、看過できないヤラセがあったことが理由のこと。今後の番組製作続行は不可能と判断し、TBSは謝罪した。
さて、「クレイジージャーニー」「消えた天才」の打ち切り問題だが、バラエティ番組は時折、見ている視聴者が想像だにしなかった「あっ」と驚くような最終回を迎えてしまうことがある。
2003年に放送されていたテレビ朝日「みごろ!たべごろ!ナントカカントカ」。この番組は70年代に放送されたバラエティ番組「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」を意識した作りの番組で、構成は新たに撮り下ろしたバラエティパート、そして昭和時代に放送され、小松政夫、伊東四朗、キャンディーズなどが出演した「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」のコントを再放送していた奇妙な番組だったのだが、うまくシニア世代の客層をつかんだのか、日曜日朝4:30〜5:00という時間帯にもかかわらず常時2%前後の視聴率を叩き出す、知る人ぞ知る人気番組となっていた。
そして、「みごろ!たべごろ!ナントカカントカ」は同年10月より、「みごろ!たべごろ!デンセンマン」と名前を変更。番組の人気キャラクター「デンセンマン」を番組タイトルに据え、当時人気だったグラビアアイドル小倉優子を加えたアイドル情報番組へと変貌を遂げたのだが、「デンセンマン」はわずか5回で最終回を迎えてしまう。
原因は「デンセンマン」の公式HPが「あまりにふざけ過ぎ」とクレームを受けたためだったという。
「デンセンマン」が放送されていた2003年、テレビ業界では日本テレビのディレクターが自身の担当している番組の視聴率を上げるため、視聴率測定機を所有している家庭を「買収」しようとしたことが発覚した。
日本テレビは事態を重く見て、ディレクターを懲戒処分。そしてパロディ精神豊かだった「みごろ!たべごろ!デンセンマン」のスタッフは番組ホームページに「番組を応援してくれる方を募集!!ビデ○リサーチの視聴率を取る機械を持っている人!大歓迎」と記載したのである。
これに「テレビ業界史に残る不祥事を茶化すとは何事か」とクレームが入り、「デンセンマン」は即時打ち切りとなってしまったのだ。
見方を変えれば、パロディ多めのバラエティ番組として「名誉の戦死を遂げた」ともいえる、「デンセンマン」の打ち切り事件だが、元々がマイナー番組ということもあり、「幻の打ち切り事件」としてテレビ業界では語り継がれているという。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)