最後の出演となった6月29日の放送ではショートエピソード「いつものオラだぞ」が流れた。家族の団らんの様子が描かれ、最後のしんちゃんのセリフ「あぁオラ、毎日楽しい」が感動を呼んだ。
今でこそ国民的な家族アニメとなった『クレヨンしんちゃん』だが、放送開始当初は問題作とみなされることもあった。
「『クレヨンしんちゃん』はもともと青年誌の『漫画アクション』(双葉社)に連載されていたものでした。そのため、かなりブラックな要素や、きわどい下ネタもありましたね。両親の夜の営みをしんのすけが目撃し『プロレスごっこをしていた』とごまかすシーンがあります。さらにアニメと並行して連載した漫画では、幼稚園のまつざか先生の恋人がアフリカのホテルで爆弾テロに遭遇し亡くなり、ショックのあまり先生が酒びたりになるといった“鬱展開”も話題となりました」(サブカルチャーに詳しいフリーライター)
アニメのしんちゃんは、かなり「かわいく」デフォルメされたキャラと言える。それでもバッシングは多かった。
「女好きでお尻を出すといった下品なキャラクターはもちろん、初期の放送では『みさえ』『ひろし』と両親を呼び捨てにすることもあり、それが『道徳的にどうなのか』と問題になりました。さらには『クレヨンしんちゃん』の映画版には『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』のハイグレ魔王に代表されるように、ゲイやオカマなどのキャラクターやネタがたびたび登場することから、『同性愛者に対する差別的な表現ではないか』とも言われていましたね」(前出・同)
ただ『クレヨンしんちゃん』に限らず、当時のバラエティ番組ではゲイやオカマをイジる風潮は当たり前のようにあった。『クレしん』は時事性が反映される番組でもあり、描写が批判されることは多かったのだ。