矢島は1992年の番組放送開始当初から、しんのすけ役を担当。『クレヨンしんちゃん』人気の上昇に大きく貢献し、同作を「国民的アニメ」に引き上げた。放送当初は現在と異なる声だったが、作風に合わせて変化させ、1993年頃から現行のスタイルに仕上がった。
長らく「顔出し」はしていなかった矢島だが、2007年頃から数回テレビ出演。そのかわいらしい風貌と声に「しんのすけとギャップがある」と驚く人も多かった。特に「地声」が全く違うことに衝撃を受けた人は多かったと聞く。
矢島はコメントを発表し、降板理由について「しんのすけの声を保ち続けることが難しくなった為」と説明。さらに「キャラクターの声を作る作業に意識が集中し、役としての自然な表現が出来にくくなった」とした。「長い間、皆様に親しんで頂き、本当に感謝しております」とお礼を述べた。
今後も声優活動を継続するという。矢島は「別の機会に他のキャラクターでの私の演技を受け取って頂けましたら幸いです」と意欲を見せている。なお、しんのすけ役の後任については「現在調整中」とのことだ。
突然の降板に、ネットユーザーからは「寂しい」「残念」などと惜しむ声が。一方で、「女性があの声を出すのは大変」「可憐でかわいい地声なだけに、ダミ声を出すのは苦痛だったのでは」など、降板に理解を示す声も多かった。「寂しいけどお疲れ様でした」とねぎらう声が続出している。
今回のように長年1つの役を務めた主役声優が、存命のまま交代したケースは極めて珍しい。同じテレビ朝日の『ドラえもん』が、長年声優を務めた大山のぶ代から水田わさびに交代したケースもあるが、こちらは高齢化が原因。「声を出すことが難しくなった」という理由での降板はレアケースだ。それだけ彼女が喉に負担をかけながら頑張ってきたということだろう。
矢島はアニメが子供に受け入れられるよう、しんのすけの声をアレンジしており、喉にはかなりの負担があったと思われる。それでも作品のために必死に頑張ってきた姿勢を誰もが称賛している。「お役御免」は寂しいが、致し方ない。
26年間以上頑張ってきた矢島に、拍手を送りたい。