浜田には、自他ともに「扶養家族」と認める後輩芸人がいる。ライセンス・井本貴史、どりあんずだ。ともに、芸歴20年超え。ライセンスは、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)のサブ的役割で、準レギュラーの座を射止めている。その一方で、ほぼ同世代のどりあんずは、いまだテレビ露出に恵まれず。ダウンタウンの冠番組の前説どまりだ。当然、芸人収入だけでは食えず、40歳を過ぎてもアルバイトを掛け持ち。既婚者で子どももいるため、生きるために必死だ。
浜田が、地元・関西の読売テレビ制作で、かなりユルめの番組『浜ちゃんが!』で時折、どりあんずを起用するのは、事情を知っているがゆえの温情だ。そんな同番組の3月29日深夜、キー局の日テレで放映された回で、事件が起こった。浜田が泣いたのだ。
番組は、『浜ちゃんが!』の新レギュラーの座を賭けて、若手&中堅のよしもと芸人数組がアピール合戦を展開。どりあんず・平井俊輔はものまね芸を披露したあと、「レギュラー獲得をアピールしてもらいます」と、相方・堤太輝の妻からこっそり預かっていたビデオレターを紹介した。そこでは、夫の堤が、バイトでやりくりしながら生活費をねん出していることや、芸人仕事で楽屋の余った弁当を子どものために持って帰ることなどが明かされた。
そして、とどめを刺すように、毎年参加しては重要な盛り上げ役を担っている浜田の誕生日会で、残ったTボーンステーキを持って帰ると、余り物とは知らない子どもたちが大喜びで食べた実話が明かされた。すると、浜田は目頭を押さえて、セットの後ろへ逃げた。追いかけた井本は、「エグいぐらい泣いてますやん」と言いながら、自身も涙を拭った。浜田も幼少期、友だちを自宅に呼ぶことができないほど超貧乏だった。そして、堤の家族全員のこともよく知っているため、涙をこらえられなかったのだ。
サディスティックな浜田は、もういない。2人の息子を立派に育てあげ、妻の小川菜摘と今なおラブラブな元イクメン、それが今月55歳になったばかりの浜田だ。還暦に向かって、ますます泣き上戸になるかもしれない。