この試合は、アントニオ猪木エグゼクティブプロデューサーの提供試合として、鈴川が所属するIGFの特別ルールが採用される。
大相撲からプロレスに転向した鈴川は、これがデビュー3戦目。上昇気流に乗った鈴川と、落ち目のサップの試合は、格闘技ファンにとっては、あまり食指が動かないカードであろう。しかし、「Dynamite!!」はNHK「紅白歌合戦」の裏番組。大事なのは、格闘技に興味がない視聴者の注目度。その点では、格闘技の世界に身を投じた鈴川と、過去の人とはいえ、“元視聴率男”サップの試合は、目を引くところである。
だが、鈴川には大きな問題がある。執行猶予中である点。大会関係者によると、執行猶予中の鈴川の試合をTBSの電波に乗せることは極めてむずかしいというのだ。せっかく組んだ注目カードも、視聴率てこ入れにつながらなければ意味がない。この一戦で多少チケットが動いても仕方がないのだ。執行猶予中の者がテレビに出てはいけないという決まりはないが、ネックとなるのは世の常識なのだろう。
常識を取るか、視聴率を取るか? TBSの判断は大会当日に出る。
なお、同大会で北京五輪柔道金メダリストの石井慧と、K-1のジェロム・レ・バンナの対戦も併せて決定(総合のDREAMルール)。K-1ワールドGP覇者のアリスター・オーフレイムの対戦相手が未定だが、これで、「Dynamite!!」の全容がほぼ決まった。
(ジャーナリスト/落合一郎)